内容説明
「おごれる人も久しからず」――権力を握った平清盛の専横は、平氏一門の運命を栄華の座から滅亡へと転回させる。院庁と山門の紛争、天台座主明雲の流罪、鹿ヶ谷の謀議。清盛激怒の末の鬼界が島への流罪と、俊寛の客死。さらに後白河法皇鳥羽離宮幽閉などなど、物語序盤にして時代は末期的様相を呈する。かつて刊行された講談社学術文庫『平家物語』全12巻を4冊にまとめ、新版として刊行。第一巻は巻第一から第三までを収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
45
出だしから引き込まれます。平家の栄枯盛衰の物語ですが、今のところ権力が激しく、迫力がありました。まだまだ平家の栄華は続きそうです。2023/04/22
やいっち
36
「平家物語」には読み物系と語り物系の流れがあるらしい。いずれにしろ、やはり、伝統に掉さす作品がいい。盲目の琵琶法師によって琵琶を弾きながら語られた「平曲」風が、聞き手に分かることを配慮しているようで、分かりやすい気がする。ちなみに本書の杉本圭三郎による訳がいいね。 長い作品。全四巻の一巻目を読んだだけ。今日から第二巻へ。2019/08/31
Tai
17
平清盛の悪とそれを諫める嫡男重盛の聖性。 白拍子、祇王・祇女と仏御前への仕打ち。比叡山延暦寺の天台座主明雲は伊豆国に流されることになるが途中で僧兵が引き戻す。鬼界ヶ島に流された俊寛、藤原成経、平康頼。高倉天皇と建礼門院に子ができ、男子誕生を祈る特赦でも、ただ一人戻されない俊寛は絶望の内に死に至る。善光寺炎上、彗星は凶兆。後の安徳天皇が産まれるも善なる重盛は病死する。後白河法皇も流され末法の時代は正に世紀末的。時に歴史と異なる脚色もありつつ物語が進む。血統が変わらない日本は恨み、怨念が積み重なる。2021/01/13
spica015
10
読了までかなり時間が掛かったが、どんどん面白くなってくる。史実を基に脚色を加え完成させただけあって、物語としての完成度が高い。巻第三までを収めた本巻の主役は父・清盛を諌める重盛と、流罪に処された俊寛であろう。平家の滅亡という結末を予め認識した上で読むと、聖人として描かれる重盛の死や、孤島に取り残されたままの惨めな俊寛の死が、物語の行く末を暗示するものなのがよく分かる。現代訳もついているが、訳注・解説も充実しているので、本文も必ず読んでおきたい。祇王のエピソードも良かった。2018/01/29
みかん。
8
平家物語は壮大な構想をもった古典文芸の一つといえるでしょう。2022/12/29