内容説明
「おごれる人も久しからず」――勢いづく木曾義仲の前に、平家は僅か二十余年の栄華の末、都落ちを余儀なくされる。九州から瀬戸内へ落ち延びながら雪辱を期するも、源義経等の攻勢に一族は次々に無念の最期をむかえ――。宇治川の先陣、鵯越の坂落などおなじみの名場面の連続で、平氏転落の加速を格調高く語ってゆく。講談社学術文庫『平家物語』全12巻を4冊にまとめ、新版として刊行。第三巻は巻第七から第九までを収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
46
戦に次ぐ戦で辛かったです。親子、夫婦といった人間関係について考えてしまいます。次巻はいよいよクライマックスですね。2023/04/22
やいっち
41
感想などは全4巻を読み終えてからとして、今日は、木曾義仲と巴御前との話題を採り上げる。というのも、本巻の物語のピークは、平家追い落としに大きな役割を果たしたその活躍ぶりと、最後は法皇ら貴族に嫌われ、ついには源氏に討たれる場面にあるからでもある。 つまり、「平家物語」においては、義仲は悪者扱いなのである。本当にそうなのか。2019/10/18
Tai
14
平家は西へ追いやられ、追いやった木曾義仲も討たれ、敗者の悲劇、追う源氏の勢い。篠原合戦、高橋判官長綱は子と同じ十八の入善小太郎行重を助けるが討たれる。七十過ぎて鬢髭を黒く染めて闘う実盛。木曽義仲は比叡山三千の僧に平家に着いて滅びるか源氏に着くか迫る。経正都落、平家の滅亡は驕れる人、猛き者の滅びだけでなく、和歌、琵琶など風雅の情趣を深く体得した教養ある人々も巻き込んだ。今井四郎兼平と木曾義仲の主従。封建的な権力秩序の主従の倫理が確立する前、自発的な主従や結び付きがあった。一の谷でいよいよ平家の滅亡が迫る。2021/02/12
spica015
6
「寿永二年七月廿五日に、平家都を落ちはてぬ。」巻第七の終わりのこの一文にがつんと心を揺さぶられる。権力を恣にし、栄華を極めた平家がよもやこのような道を辿ろうとは。運命の無情さ、冷酷さを痛感する。形勢が変わっていく中で、滅びゆく者の方に美を感じてしまう。この巻では「木曾最期」「敦盛最期」「小宰相身投」あたりが死の場面に際し、哀切極まる描写で涙を誘う。登場人物が多過ぎて、誰がどっちの味方なのか混乱してくるが、一方で戦地においては敵味方関係なく讃えあったり裏切ったりと数々のドラマが生まれている。2018/09/15
ゆうぼう
2
ますます読むスピードが速くなる。こんな物語がこういう形でわたしが読めること自体に感激です。時代時代の出来事を歴史書として後世の日本人に伝えていく。実に大切なことです。大東亜戦争についてもきっちりと後世に伝えるための書物は必要ですね。800年前の記録があって、その時のがないというのはいかにもおかしなことに思えます。2022/08/30