内容説明
第二次大戦後のアメリカ。特需により事業を成功させたジョーと、息子の戦死を受け容れられないケイト夫婦のもとへ、一家の恐るべき秘密を知る人物が来訪し……(「みんな我が子」)。ブルックリンに暮らすエディは、不法移民の従兄弟ロドルフォを匿う。だが溺愛する姪とロドルフォが恋仲になると、エディは正気を失っていくのだった――(「橋からのながめ」)。戦争や家族の問題を描く傑作2篇を収録。解説収録/広田敦郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Bashlier
33
3/5 『橋からのながめ:古典毒親問題』義理の娘を偏愛し、いつまでも支配下に置こうとする父親を描きます。時の流れと周囲の人々が彼と娘を引き離そうとしますが、いかなる手段を使ってでも手元に置いておこうと意固地になるばかり。そんな養父の重すぎる愛情から逃げ出したい娘は、自由に手を伸ばそうと、ある選択をする。その小さな勇気が、歪んだ愛情を持つ父親の目には許しがたい大罪のように見え・・・。来週観劇予定。登場人物のキャラが際立っているため、役者さんがどう演技されるか。楽しみです!2023/09/12
こうすけ
18
人間が目を背けたくなる嫌な部分が、丁寧な設定と構成のもとにあぶり出される。セリフもいいし、展開もいいし。2024/05/28
りえこ
15
2作品とも、とても良かったです。心理描写が繊細で、芝居として、とても演じたくなる作品。日常から大きなドラマにつながっていく道筋が、とてもリアルに描かれていました。2017/06/30
コニコ@共楽
12
代表作『セールスマンの死』、『るつぼ』と読んできて、初期の作品、『みんな我が子』を読んでみたくなった。この作品は1947年にヒットしたもので戦後の傷跡を残しつつ、理想とした家族が崩壊していく様を無残に描いていく。また、『橋からのながめ』はマッカーサーシズムに警鐘を鳴らすような密告がテーマのもの。どちらも今の社会問題の元になるものをテーマに人間の弱さを暴力的に暴いて沈み込むような気持にさせる戯曲だった。特に『みんな我が子』というタイトルにミラーの心情が響いていた気がする。2026/08/12
qwer0987
12
どうもこの作家は悲劇がお好きらしい。二作とも異なるタイプのカタストロフィで苦しくなる。『みんな我が子』のケラーは貧しかった記憶もあってか、金を稼ぐことに躍起になり不良品を見逃して兵士を死なせるミスを犯す。現実に戦場に行った下の世代はそんな父の行為を許せない。そんな世代間の断絶とすれ違い、不正に対する対応の差など薄皮をはぐように露わになる様がスリリングで痛ましかった。『橋からのながめ』は家父長的な男の自縄自縛の悲劇。頑固さゆえの自業自得ではあるのだが、誰も幸せにならなかっただけに胸をえぐられた。2026/02/17




