内容説明
育ての祖父が急逝し天涯孤独となった桃の前に、兄と名乗る二人の男性が現れた。二人は存在も知らなかった桃の実の父の息子たち。上の兄・冬基は大金持ちで優しく、下の兄・カイは養子で無愛想。冬基に八億の借金があるカイは毎水曜日彼の奴隷となり凝った食事を作らされていた。祖父の残した映画館を取り戻すため、桃も借金を申し込むが……? 美味しい料理と名画と謎。シネマティック・ミステリー開幕!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蝶よ花You
40
人の心を魅了する少女と、物語を動かす優しくも恐ろしいイケメンお兄様、目付きも態度も悪いけど本当は優しいに違いない影から見守るお兄様(仮)。こんな人物が揃った段階で、嬉野先生なのだから面白くて当たり前。一巻から既に読ませる作品というのも「金星特急」同様さすがです。値段もあり、文庫になるのを待とうかとも思いましたが、嬉野先生の作品で私が待てをできるはずも無く(笑)。少々、喜多みどり先生の「デ・コスタ家の優雅な獣」を思わせる作風ですが、どちらも好きですし、こちらのお兄様も読めば読む程麗しく黒い(笑)魅力的作品。2016/01/03
はつばあば
39
「うれしのの君」とも呼びたいくらい作者さんに惚れたのでこのシリーズもと。祖父の死により天涯孤独となった桃。桃の望みは祖父の遺産・異人街シネマを買い取りたいがため年齢を偽りバイトを。そんな桃の元に二人の兄が出現。「金星列車」の砂鉄のような長男の冬基と三月のようなカイという大学生の兄がモモと暮らす・・桃も桜のように育っていくのかしら。冬基とカイは桃に対して何を企んでいるのだろう。何を求めているのだろう。腹にいち物ありそうな「嬉野の君」の作品、楽しませて貰おう(^^♪2023/03/22
瀧ながれ
29
「映画に登場した料理を作って食べよう!」という設定だけで、わたしには大好物なのですが、出てくるメインキャラクターがみんな興味深く謎めいてて、ヒロインと、急に表れた二人の兄が、物語をどこへ運ぶつもりなのかまったく予想できない。お兄ちゃんたちはなにがしたいの、なんでいっしょにいるの、ヒロインをどうしたいの、謎は深まるばかりでございます。料理はすごく美味しそうなのに、作ってる当人が科学実験でもやってる感じなのも、ちぐはぐでギャップ萌えですね。名画のタイトルがいっぱい出てくるのも嬉しいし、続きが気になります。2015/12/29
リディア
8
面白かったです。始めの映画の上映成功は嬉しかったです。でも信用しきれない兄が二人。謎がちらついて桃ちゃんの今の幸せが喜べなくて。続きが気になります。2019/07/03
ともっか
8
古いミニシアターと映画の中の料理、私立のお嬢様学校に大学の研究室にお金持ちを混ぜ込んでミステリー増し増しに仕立てられたおはなし。すごく面白かった!人転がしの血が末恐ろしい。2017/01/17