内容説明
「あばずれ女の亭主が歌った」、とうたった相聞の詩人。「老いたる者をして静謐の裡にあらしめよそは彼等こころゆくまで悔いんためなり」とうたった、〈神〉なるものを求めた祈りの詩人。時を超えて読む者の心に深い感銘を与える夭逝の詩人の刊行詩集『山羊の歌』『在りし日の歌』の2冊の詩集と、未刊詩篇の全てを収録の上、新たに編纂した決定版全詩集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
35
感想を書く際には、既に人口に膾炙している詩を引くのはよそうと思っていたのだが、上下2巻を読み終えた今、心から引用したいと思うのは「朝の歌」をおいて他にない。 中也が、詩人として立つこととなった詩であり、病床にあった彼の父が読んで涙したものでもあり、僕にとっても、うつ病からの回復期に真っ先に心に浮かんできた詩でもあるので、いまさらという感もあるが、やはりこの詩を引いておきたいと思う。 2018/12/28
双海(ふたみ)
3
未刊詩篇の全てを収録しています。手元に置いておきたい一冊。2013/09/04
瀬々
2
出てくる言葉の一つ一つがなんだか切ない。花も儚くて、もし触れることができたら散ってしまいそうだ。未刊詩集もたっぷりと堪能できて満足です。この上下巻は本当に大切な本です。2016/03/18
肉欲棒太郎
1
「嬉しいことも、あつたのですが、/ 回想されては、すべてがかなしい」 「愛するものが死んだ時には、/ 自殺しなければなりません。/ 愛するものが死んだ時には、/ それより他に方法がない。」 「彼女等は、悲しんでゐるけれどその悲しみを/ ごまかして、幸福さうに見せかけてゐる。」 「僕は人間が笑ふといふことは、/ 人間が憎悪を貯めてゐるからだと知つた。」 「心とは貧困な、物質である。」2017/12/03
桜井夕也
1
「さうと思へば涙がこぼれる/なんだか知らねえ涙がこぼれる」2012/07/27