内容説明
銭湯の湯舟でくつろいでいた青年は、ふと我に返って驚愕する。いつの間にか、そこは「女湯」に変わっていたのだ。何とか脱出した彼が目にした見慣れぬ町。左右が入れ替わったあべこべの世界に迷い込んでしまったらしい。青年は困惑しながら、新しい人生に踏み出そうとするが――。「鏡の国」を舞台に奇想天外な物語が展開される表題作ほか、短編三編を収録。伝説の天才が遺した名作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
126
表題の長編「鏡の国のアリス」と短編3作の昭和感漂うSF。世にも奇妙~っぽくもあり、藤子F不二雄の異色SF短編集も想起させるシニカルさ。表題作は左右対象の別世界に迷い込んだ男の話。左は右で右は左で、文字は逆で車は右で…あべこべの町での奇妙な暮らし。物理チックな解説は文系アタマには少々厳しめ。オチも弱かったかな。数年前に読んだ「マイナス・ゼロ」が爆発的に面白かったのでハードルが上がってしまいました。この本ではむしろ短編3作の方がよかった。とくに「遊覧バスは何を見た」は時の移ろいに哀愁感が漂ってていいです。2021/04/18
yamatoshiuruhashi
57
銭湯で長湯していたら気づいてみたら、男湯に入っていたはずなのに女湯にいて、警察のお世話になる羽目になった男の話。いつの間にか鏡に映っている世界のように文字や左右が逆になっている世界だった。で、鏡で左右は逆になるのに何故上下は逆にならないのかというよくある質問も本書で説明されるのだが、登場人物が教育番組で解説したVTRを見せるという趣向で出来るだけわかりやすく解説される。成程、と思うものの実は小説を読みたいのであってその詳しい理論を知りたいのではない。と考えると冗長になる。本筋ぼやけて一応は読了。2022/12/18
タルシル📖ヨムノスキー
21
広瀬正全集の4冊目。中編1編と短編3編を収録。表題作の中編は主人公が銭湯の湯船に浸かっていたらいつのまにか女湯に変わっていて、実はその世界は左右逆転のいわゆる「鏡の世界」だったという話で読み始めはとても興味深く読み進められたものの、途中からとにかく私には難しい話でした。特に中盤で50ページ以上を費やして語られる「鏡の世界の捉え方」はもうついていくのが大変で何度読む手を止めたことか。この感覚は、東野圭吾さんの〝超理系殺人事件〟や、山本弘さんの〝神は沈黙せず〟以来かも。井上ひさしさんの解説もこれまた難解で…。2023/11/27
ろここ
19
マイナスゼロ以来の広瀬作品。理系てんでだめなもんで、鏡像の理論解説のあたりは正直よく分からなかった。しかしシンメトリーの美しさを崩す理由とか、鏡の国のアリスについての解釈とか、広瀬氏独自の見立ては面白かった。 表題作より「遊覧バスは何を見た」がよかった。戦争前後の人々の営みと作者の想像した未来。2021/03/20
た〜
18
表題作プラス短編3本。表題作は面白いけど説明調な場面が続いてこんがらかる。ラストのは微妙。ルイス・キャロルの同名作をベースに描かれており、その説明も多い。短編の方は思わず「なんでそうなった!?」と、言いたくなるようなラスト2015/08/27
-
- 電子書籍
- 異世界失格【単話】(8) ビッグコミッ…
-
- 電子書籍
- ゴッドサイダーサーガ~神魔三国志~ 4…
-
- 電子書籍
- 花板虹子【完全版】2巻 マンガの金字塔
-
- 電子書籍
- Wakeboarder. - 62号