内容説明
揺籠期を過ぎた西洋哲学は、ストア派、新プラトン派を経て中世へと進む。エピクロス、フィロン、トマス・アクィナス……。哲学者たちの苦闘の軌跡をたどる感動的名著・名訳の第三巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
45
読んだというよりも調べた。他レビューでトマス・アクィナスに割かれていないことが言及されているが、アウグスティヌスはそもそも哲学者として認識していないためわずかに触れる程度。アンセルムスやアベラール、スコトゥスやオッカムもおおむね均等に割かれているが、概略程度。イスラム教圏の医学との接点が言及されていて、アヴィセンナには一カ所だけ触れている。検索するためには電子書籍の方が使い勝手が良い。2025/12/29
またの名
13
ソクラテスが新しい原理を持ち込んでから、個人の主観に頼るストア派や万物は様々な原子の偶然的な結びつきにより構成されると論じるエピクロス派、確信を持って事物を突き崩す懐疑派が現れるも、ヘーゲルの目には食い違う信念同士の虚しい言葉遊びデュエルとは映らない。むしろそれら思考のすべてが全体として哲学そのものだと議論。全体論の偏重にも見えるけど、東洋思想やスピノザが求める自然実体への融即を断固拒否し、あるがままの自然な自分を肯定するのでなく逆に破棄する精神の否定の威力にこそ自由な人間が生まれるダイナミズムを認める。2017/09/04
yukihirocks
9
ヘーゲルは「区別を保持したまま統一を作るもの」と「具体的なもの(となる契機)」を重視しており、それらが実現されたもの――概念的に把握されたもの――こそが「真理」であり、その思索こそが「哲学」であると考えているので、過去の哲学に対しても専らその観点から評価を下している。故に多少の「恣意的な読み」の感は否めない、というか、本書は「単なる哲学史の講義」ではなくて「彼自身の哲学の一環」として捉えるべきだと思う。恐らく彼は自分を「革命的思想家」だとは思っていない。むしろ「哲学史の必然的帰結」という自負を持っている。2026/03/14
amanon
5
最初のギリシャ哲学の個所はひたすら退屈かつ難解で、読むのがかなり辛かった。それが新プラトン派になると俄然面白くなり、読むスピードもアップ。特にアウグスティヌスに対する新プラトン派からの影響はよく指摘されているが、あそこまでキリスト教と親和性があるとは意外。その割にはキリスト教との関係性に触れられていないのがちと解せないが。また、新プラトン派には一定の評価をしているのに対して、スコラ哲学にかなり否定的な評価をしているのが気になる。これって今日的に見てどうなのか?後、解説及び訳注が全くないのが、非常に残念。2026/07/16
tieckP(ティークP)
4
想像通り、ヘレニズムと中世・ルネサンスへの評価は高くなく、その意味で本書と1巻の後半は哲学を論じるためというよりは歴史を論じるために存在する巻。すでに他の方の感想で述べられているとおり、トマス・アクイナスなんて1頁ちょっとしかない。一方、ジョルダーノ・ブルーノなんかはヤコービが紹介したのを引いてそれなりに重視していて興味深い。キリスト教や新プラトン主義の三位一体を哲学に不可欠の要素とするあたりは僕にはその必然性が感じられないが、個性としては面白い。ともあれ力強くしかし虚勢のない素晴らしい講義だと思う。2018/04/13
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