内容説明
最大の哲学者、ヘーゲルによる哲学史の決定的名著。大河のように律動、変遷する哲学のドラマ、全四巻改訳決定版。『I』では哲学史、東洋、古代ギリシアの哲学を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
53
藤岡弘.がインタビューで訳の分からいことをしゃべることを知っているだろうか。「自己の精神が自己と向き合うことが自己自身にとって重要で…」とかいう感じなのだ。これは武道かも知れないが、少なくともヘーゲルを読むとそっくりなフレーズに出会う。「精神の行為は、己を知ることにある。私はありのままに存在はしていますが…精神として存在するのは、己を知る限りでのことです。」後半で古代史が語られる前に、本巻の前半で哲学史の意義が論じられる。ヘーゲル節が全開である。哲学史は単に歴史を辿るのではなく、概念を考察して深めることが2025/09/14
かわうそ
45
序論の所々に顔をのぞかせるヘーゲルの志に感動しました。『しかし実際は、わたしたちの現在は同時に歴史的なものです。もっと正確にいえば、思考の歴史において過去がその一側面をなすのと同様、わたしたちの現在においても、一貫して変わることのないものがわたしたちの過去と切り離しがたくむすびついています。わたしたちが近代世界において獲得した自覚的な理性にしても、現在という土壌から直接に生じたものではなく、本質的に過去の遺産なのであり、くわしくいえば、過去の全人類の労働の結果です。』28 無人島に持って行きたい本です2023/02/20
またの名
16
歴史哲学講義なんかより断然ヤバい。いわゆる哲学史の教科書がつまらない諸説の羅列に終始するわけを指摘し、「自分たちは真理とかいう次元を超えてるので過去の思想など外的で死んだ空虚な歴史的資料」と考えて研究にあたり紋切型のお世辞を贈る輩をメッタ切り。孔子やキケロらの人生訓も大して哲学的に価値がないと言い放ち、ところどころでぶっ込まれる独自の論理は、抽象的な真理など真理ではない、具体的なものは後になって現れるので最初に来る抽象概念は最も貧しいといった人を驚かすような意外な論理。ヘラクレイトスからの影響を自ら強調。2017/08/11
amanon
9
本論に入るまでの概論が読みごたえがあり、圧巻だが、実際に哲学史の説明に入ると、いささか退屈というのが正直なところ。個人的にギリシャ哲学が苦手というのも影響していると思うが。一応哲学科院のマスターを修了しているが、タレスから始まる幾多のギリシャ系哲学者の名前と思想の結びつきの知識が未だにあやふや。また、時代的な制約のため、ヘーゲルの解説がどこまで正確か?という問題もあると思うのだけれど、その辺りについての解説や注釈が一切ないのは問題だと思う。ただ、ヘーゲル自身の歴史観や思想が伺える箇所があるのは興味深いが。2020/05/01
yukihirocks
7
ヘーゲル哲学に足を踏み入れる前に、まず「彼はこれまでの哲学をどのように捉えているのか」を知ることが理解の一助になると思ったので、手に取った。この判断自体は間違いではないと思う――良くも悪くも。そう、この哲学史はあくまでも「ヘーゲルから眺めたもの」である。その大枠は『精神現象学』的な構図であり、精神の自己展開という図式を念頭に置いて哲学史を振り返っている、と感じる。各哲学の意義も、発展という相において斟酌しているように見える。故に本人は「恣意的な読みをせずに客観的に忠実」と自称するが、フラットには見えない。2026/02/07




