内容説明
この国の習俗・慣習、あるいは思考や行動の基本的な型というものを大小となく煮詰め、エキスのようなものがとりだせないか――。日本史に深い造詣を持つ著者が、さまざまな歴史の情景のなかから夾雑物を洗いながして、その核となっているものに迫り、日本人の本質は何かを問いかける。確かな史観に裏打ちされた卓越した評論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むーちゃん
120
小説もいいけどエッセーもいいですね。街道をゆくも読み始めました。2019/09/18
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
119
雑誌「文藝春秋」の巻頭に書き綴ったもの。タイトル通りにこの日本という国を形作る、歴史、文化、宗教、庶民の生活など、幅広い。冒頭の「紋」にしても、それぞれの家に家紋はあるのだが、かつてはそのように利用されていたのだなぁ。「紋付袴」の意味がよくわかった。それにしても、司馬さんの歴史、文化に対する造詣は深い。改めて脱帽です。★★★+2017/08/01
ゴンゾウ@新潮部
118
第1巻を読んでから時間があいてしまった。前巻は国の統帥権をはじめとした政治的な思想や国の成り立ちが中心だった。本作はこの国の慣習や世俗・風俗といった庶民の話題が多く取り上げられ読みやすかった。この国のかたちを作ってきた本質をおぼろげでも構わないので感じることができたらいいと思う。2016/10/01
Die-Go
100
再読。日本と言う国の「かたち」を、司馬遼太郎の筆によって読み解く。日本の文化史を紐解いているよう。面白かった。★★★★★2016/03/25
カピバラKS
98
●昭和63・64年の文藝春秋巻頭随筆。●著者曰く、本来の仏教は「じつにすっきり」しており、人は死ねば空に帰し、釈迦に墓はなく、「霊魂も怨霊も幽霊も祟りも」ないという。●執筆当時に見られた、墓相や水子の霊をネタにした金儲けを、暗に批判しているようだ。心霊写真等、令和では消えたインチキ話を思い出す。●また著者は、釈迦が百万人に一人の天才にしかできない「悟り」を、できもしない大衆に勧めたことに疑念を漏らす。●釈迦は、戦争廃絶と同じで、できないからと言って諦めたら終わりと信じていたように思う。2024/09/04