内容説明
巨星、堕つ――。1996年2月12日、十年間続いた『文藝春秋』の巻等随筆「この国のかたち」は、筆者の死を持って未完のまま終わることになった。本書は絶筆となった「歴史のなかの海軍」の他、書き言葉としての日本語の成り立ちを考察した「言語についての感想」「祖父・父・学校」などの随想、講演記録「役人道について」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴンゾウ@新潮部
124
司馬さんの急逝により未完のまま終わることとなった「この国のかたち」。日本人を思い、過去の歴史からこの国のかたちを模索しこの国の未来に思いをはせた司馬さん。もし彼が現在の日本を見たときどう思うのだろうか。2017/11/23
レアル
75
日本海軍の話を持って絶筆。そして随想集と続く。。1~5巻で様々な角度、視点から述べられてきた司馬氏観。そろそろ集大成かと思った矢先の…。このシリーズは1巻のレビューにも書いたが、数年に一度読み返したくなる読み物。絶筆でなければ「この続きはどのようなものだったのか」と(未巻)の文字を見る度いつも考えてしまう。。2015/11/13
Die-Go
65
迂闊にも初読。絶筆となった「歴史の中の海軍」をもって、「この国のかたち」は終わっている。もうこの続きが書かれることはない中、司馬遼太郎さんは今のこの国を見て、何を思うだろうか。やはり旧アジアの残骸を見出だしてしまうのではないだろうか。我々はこれを読んで何を為すべきか。★★★★★2016/03/24
優希
54
未完のまま終わったのが残念です。歴史における海軍のあり方他、日本語への考察、随想や公園記録など全てが司馬史観のエッセンスのように思いました。日本という国を様々な色彩で見るのが面白かったです。2023/03/29
おさむ
54
1996年2月に司馬さんが急逝され、最後となった回が浜口雄幸の暗殺で文章が終わっているのが何か予兆めいたものを感じます。醤油の原型となった和歌山湯浅の僧侶・覚心を紹介する回、日本語の文章論など縦横無尽ともいえる知識の広さと深さに圧倒されました。トランプや北朝鮮など世界が不安定になって来たいま「他国については自国の尺度で見ればすべて間違う。他国を知ろうとする場合、人間は皆同じだという高貴な甘さがなければ決してわからないし、その甘さだけだと皆間違う。これも人の世のたのしさである」という言葉が心に残りました。2017/08/16