内容説明
猟奇趣味のある青木愛之助は、秋の招魂祭で賑わう靖国神社で、友人の品川四郎そっくりのスリを見かけ興味を引かれる。品川とともに、その幽霊男を追ううちに、自分そして妻の芳江にまで魔の手が伸びてくる。幽霊男は女の生首を弄ぶ様な悪魔趣味的でとても危険な男だった――。しかし事件は思わぬ展開に。幽霊男の背後に白蝙蝠団という犯罪組織が――。後篇はこの国家的陰謀組織に挑む明智の冒険譚。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
202
乱歩はこういう小説も書いていたのかと、驚く。前半は、友人と瓜二つの男を追いかける心理スリラー。それはジキルとハイドかドッペルゲンガーか、はたまたクローン人間か!後半は、そんな追跡譚から一変、国家顚覆を企てる悪党たちと繋がって、大東京の存亡をかけた明智小五郎との死闘が、幕を開ける!大正時代の風俗から政治、さらにはSFまで、これでもかというテンコ盛り。ヘンに理屈をつけて尻すぼみになっても、そこは持ち前のサービス精神がまさってしまう。ツッコミながらもスラスラ読める。それでこそ大乱歩である。2019/06/19
かさお
28
猟奇的趣味を持つ男が友人そっくりの謎の男と出会う事から事件が始まる。あの時代の妖しい雰囲気がたっぷり。今みたいに電気が明々と点いていない夜の街。魔物が出てもおかしくはない。秘密のお座敷、覗き穴、変態チックなプレイ、消えた死体、世を乱す恐るべき計画とは?明智はいつ出るんだ?いやいや、変装の名人なんだから、ん?あの人かこの人か?魔人が明智に化けているというテもあるし。。混乱、そして解決、しかし、明智の活躍度は今回は薄くて残念、脇役っぽかった。。まぁポチポチとこのシリーズで読み進めます😊2024/11/09
さこぽん
26
”そっくりさんが裏で悪事を働き、その罪を自分が被ることになる話” と思いきや、<国家的陰謀>というスケールのでかいものになってぶっ飛び! トリックがわからず子供のような泣き顔になったり、隙をつくってしまって犯人に逃げられる明智小五郎がしょぼい。←( ´艸`) でもそんなところが人間らしくて好きだ。 まだ4巻目、あと8巻。2017/11/09
旗本多忙
24
一心にのめり込む自分がいた。読むことが、とても中断出来るような作品ではなく、ゾクゾクハラハラ感がたまらんかった。明智探偵は後半での登場となるのだが、翻弄される明智探偵、次々に賊徒らの手にかかる明智側。更には小五郎自身も拉致される。いったいどのように事件の核心部にたどり着くのか‥‥興味わく事件簿4巻である。2016/10/01
まゆまゆ
23
明智小五郎事件簿、4巻。内容忘れてるんじゃなくて、不覚にも未読のものでした。友人そっくりの男を偶然見かけた愛之助。その男を追っていくうちに、事件に巻き込まれていきます。この主人公が、乱歩らしい設定「世の中全てに退屈している」男。だからこそ一般人なら避けて通るものに吸い寄せられ、そこから広がる乱歩らしい猟奇的な世界。ゾクゾク、ワクワクしながら読み進めました。明智センセイが出てくるとキュンとしてしまいます。カッコよかったです♡次巻は「魔術師」。((o(´∀`)o))ワクワク2017/06/15