内容説明
既に敗色濃く、見込みなき戦いは続く。北は千島から西はビルマに至る広範な戦場で、予備学生たちは一人一人苛烈な運命を辿ってゆく――。本書は、膨大な証言をもとに、敗戦へと収斂してゆく日本海軍に身を賭した人々の姿と、日本がくぐった未曾有の経験を鮮やかに照射する一大叙事詩であるとともに、あの時代に生を刻み込んだ数多い若きいのちへの鎮魂歌である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
27
◎軍人を職業とする気がなかったにもかかわらず、海軍将校として戦争に参加した予備士官たちの戦いが書かれています。末期の組織(この本では海軍)は存続することが目的になり当初の目標が忘れ去られるというのがよく伝わります。一人一人のエピソードは長いものではありませんが、それぞれが深い印象を与える話でした。2022/12/12
金吾
23
◎ひとりひとりの予備士官たちの話それぞれが読み応えがあります。末期の大日本帝国は 何を目的に戦争を継続したのだろうかと思います。2025/04/25
jiangkou
6
第二次世界大戦の歴史書は数あれど、それを舞台にし、対戦時代を生きる青年たちの群像劇を書いた大河小説。歴史観がどうのというのは抜きに読み物として面白かった。山崎豊子の二つの祖国に通じるものも。歴史書、解説書などと併せて読むと少しは対戦の雰囲気、その根底にあった日本という国の姿、戦後の日本につながるものを感じることができた。2016/02/13
xkxxxxk
1
第二次世界対戦における海軍予備学生たちの生きざま、死にざま。あらゆる立場、あらゆる苦境のもと戦争に臨む姿が描かれており、かなりのボリュームながら最後まで多様な緊張感を持って読めた。死に向かう姿にこれほど生命力を感じるとは。読ませる力がすごかった、阿川さん流石でした。2016/02/17
さっと
1
太平洋戦争末期。海軍の予備学生らは、北はソ連国境の千島から、南洋諸島、ビルマまで、それぞれの任地で奮戦を続ける。特攻、空襲、飢え、捕虜、戦犯。彼らが辿らざるを得なかった過酷な生と死を見つめ、戦争を活写する傑作長編。2008/12/21