内容説明
昭和18年4月、特設巡洋艦愛国丸は、台湾での基礎教育を終えた海軍第二期予備学生550余名を乗せて帰国の途につき、呉に入港した。ここで予備学生たちはそれぞれの配属先に別れるのだった。霞ヶ浦航空隊の栗原、海軍兵学校の田崎、館山砲術学校の三宅――彼らは厳しい専門訓練を経て任官し、前線に出てゆく……。自ら青春を日本海軍とともにした著者が情熱を傾けた渾身の二千枚。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
30
◎阿川さんの著書で一番好きな話です。著者自身が経験している海軍予備学生が任官して各々の戦場で奮闘している姿を通じて、特に次々と戦死していく状態を書くことにより、敗色の濃い日本海軍等を描写しています。暗い話ですが惹き込まれます。2022/12/11
kawa
27
長編本格戦争小説。青春を謳歌していた学生たちが突然悲惨な戦争に巻き込まれていく様を描く海軍予備学生の物語。上巻だけで600頁超えでちょっと引きながら手に取った本書なのだが、航空兵、通信兵、砲術兵、偵察兵、兵学校教官など様々な分野でのリアルな戦いが興味深くて、ページを捲る手がとまらない。戦争経験者がほぼいなくなった今だからこそ、読むべき、残すべき名作と言えるのではないかな。著者も元・海軍予備学生。2025/11/07
金吾
24
◎戦争が本職ではない招集された学徒たちの苦悩や青春が自らも予備士官であった阿川さんが切実に描いています。何度読んでもいい話です。2025/04/24
roatsu
13
阿川弘之さん逝く。当事者として大東亜戦争を知る方がまた一人旅立たれた。天国で先に逝った作家仲間や小説に描いた山本元帥らと会えたろうか。ご冥福を祈る。本作は自身の海軍予備学生としての経験を基に、当時の大学生達が青春と学業を振り切り国のために身を投じた戦争の中で直面する様々な経験、待ち受ける残酷な運命を彼ら自身の目線で克明に描き読者に追体験させ、戦争の惨禍に散った一世代の記憶を伝える作品群の一つ。自分が読書を通じ海軍、戦争、特攻について知る入口となった作品群で、今後も大切に読み継いでいきたいと考えている。2015/08/06
零水亭
2
阿川弘之氏の代表作と言っていいのでは?個人的には「春の城」「雲の墓標」「軍艦長門の生涯」とこの作品は新米三羽烏より好き。2019/07/11
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