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内容説明
戦禍による社会秩序の崩壊や政治の堕落は、ついには杜甫の運命をも巻き込み、生涯にわたる漂泊の旅がここに始まった。日本を代表する漢文学研究者が結集した執筆陣による完全書き下ろし杜詩全訳注第二巻。本巻は、生活の場としていた大唐のまほろば洛陽、長安を去り、蜀道の難所を越えて、成都の草堂で安らかな生活を手にする時期の作品を収載する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
10
第二巻は秦州時代から始まり、成都の浣花草堂にて平和な日々を過ごした六年間(途中、シ州やロウ州に移動あり)までの作品を収録している。成都時代の最後には厳武の推薦で工部員外郎の地位を得るが、半年後にはその職を辞すことになる。本書には自らの貧しさから天下の貧民に思いをはせる有名な「茅屋秋風の破る所と為る歌」や春ののどかさを歌った「絶句二首」なども収められている。二巻は一巻よりも自らの不遇を嘆く調子の詩が少なく、樹木や花、雨などの自然の恵みを歌ったり、諸葛孔明や陳子昴を偲んだり、画を見たりと落ち着いた詩が多い。2019/05/22
鏡裕之
2
解説がなかなか秀逸。杜甫というと第1巻を読む限り、自分の境遇を嘆く「嘆き節」ばかりの印象であったが、実は家族への愛や自然、動物、食べ物、飲酒、絵画、仏教、仙道と内容は多岐にわたっている。ただ吐蕃(チベット)の侵入のこととなると、暗くなる。2017/03/07