内容説明
絶海の孤島アルバトロスの秘密施設。そこは一枚の紙切れで生命を奪う謎の怪盗ペイパーカットに遭遇し、九死に一生を得た人々を収容した研究所だった。元警察官・伊佐俊一もまた怪盗に負わされた傷を癒すべく、島を訪れた一人。人に言えない過去を持つ患者ばかりの、不穏な空気が漂う所内で、ついに連続殺人が! 犯人とその目的は? スパイの存在も囁かれる中、容疑は伊佐に向けられた! 後遺症の幻覚に襲われながら、独り不可解な事件に挑む伊佐が掴んだ驚愕の真実とは!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
33
統和機構の影がチラチラし、ペイパーカットもあまり姿を見せない(怪盗だから当然か)。魂よりも大切なものを予告奪取するペイパーカットが何を奪うのか、そこが面白い。今回は、怪盗と接触したばかりの伊佐が研究施設のある絶海の孤島に送られて、同じくペイパーカットの影響を受けたと思われる人々に出会い、そして起きる連続殺人の探偵役に・・・。面白い。ただし、前の巻を読んでから時間が経ち過ぎて、キャラクター把握に四苦八苦。2018/04/07
神太郎
31
最新作にしてエピソード0になる。伊佐が何故ペイパーカットを追うことになるのかは幽体研究にて少し触れられたが、そこからすぐに調査員になったのではなく、一度は患者としてサーカムの監視下に置かれていたというのが今回わかった。その中でも謎の不審死が繰り返し起こるわけだがはたしてそれはペイパーカットによるものか誰かの手によるものなのか。容疑者には伊佐さんも含まれているのだが…という内容。ソフトなミステリーかな。今まで1~2年に一冊ずつ出てたのに今の所約10年音沙汰なし。いつでも待ってますよ笑!2021/09/19
ネムコ
18
久しぶりのペイパーカットシリーズ。今回は伊佐が、相棒のロボット探偵・千条と初めて出会った時の事件。人がバタバタ死ぬし、死因もバラバラ。雲を掴むような事件の中、伊佐もまともに歩くこともできない最悪のコンディション。しかしラストですべてがひっくり返る。上遠野節、堪能しました。2023/07/17
ダージリン
13
絶海の孤島アルバトロスの秘密施設で起こる連続殺人!いかにもミステリーな状況ですが、そこは上遠野さんなので一風変わった展開に(笑)。エピソード0ということで、元警察官とロボット探偵のコンビ結成?・・・楽しませていただきました。2013/04/24
シュエパイ
11
周りの全てが偽物みたいに思えて。自分が偽物なんだと、すでに見抜かれているような人形だけが本物に思えた、マリオンのキャピネッセンスが、一番私の心に近いような気がして。誰も彼もが遠回りして、諦めてしまった物語でした。見向きもされなくて、あきらめた人々と、強く立ち向かっていけた人の違いって、何だったんでしょうね・・・?2012/12/06