内容説明
茶室・妖奇庵の主は、隻眼にして美貌の洗足伊織(せんぞくいおり)。ヒトと僅かに違うDNAを持つ妖人だ。家令の夷(えびす)、家事手伝いのマメと共に静かに暮らしていたが、《鬼》の属性を持つ青目にマメが襲われて以来、危機感を強めていた。そんな折、妖奇庵を訪れた《貘》から「妖人というだけで差別され、妻子が苦しんでいる」と相談を受ける。一方、子供のように無垢なマメには、過去からの脅威が近づき……。人気作第5弾、文庫書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
153
だから弟子丸マメの名前は漢字じゃなかったのだろうか?豆だとマメともトウとも読めるから。関係ないけど8割超の割合で夷を読み間違えてます。何て間違えているかは内緒。6巻をBOOKOFF高田馬場北店で少しだけ立ち読みしたけど相変わらず物語的にはほとんど進展しない感じだね。2018/03/17
じぇりい
119
マメがメインのとても重くて切ない話だった。保身のために生じる嫉妬や差別。その結果生まれる悲劇の連鎖。マメの純粋さの裏にあんな悲しい事実が秘められていたなんて。最後まで読んでサブタイトルに納得。同じ場面の描写が少しずつ変化しながら挿入されているのがとても効果的だった。伊織と青目の関係が不安定なままなのでラスト2ページは余計に切ない。2016/04/24
モルク
114
茶室の主、妖人の伊織のシリーズ第5弾。今回の主役はマメ。子供のように無垢で涙もろく、21才ではあるが中学生のような容貌、伊織や家令の夷にも家族の一員として愛されていたが…そのマメに過去から封印されてきたことがあった…と、マメの過去が明かされる。辛さを忘れ、己を保つためにマメが逃れた先は…。周到な青目の計画におののき、甲藤は株をあげ、獏という新人もあらわれる。そしてマメとトウのやりとりには泣けた。2021/10/31
ひめありす@灯れ松明の火
95
goodnight baby。おやすみなさい、愛し子。さよなら、や、お別れ、ではなくて。彼を綴じる為に選ばれた言葉。それはきっとここが『彼』にとっての家でもあるから。目が覚めるまでちゃんと守ってあげる。目覚めの時には「おはよう」と言ってあげる。投げ出したりしないよ。要らないなんて言わないよ。大切な家族だから。勿論それは先生からトウとマメヘの言葉なんだけど、先生と先生のお母さんから新しい家族へ、カイへと贈った言葉でもある様に思いました。伊織は勿論庵=家でカイは生き甲斐=生きているだけの値打の意なのかなとも。2016/08/20
りゅう☆
84
妖人への差別化が拡大。悪い妖人だけじゃないのに。いじめ、暴行。このような行為が決してなくならないのが辛い。伊織たちに内緒で甲藤に護身術を習うマメ。伊織を孤独にする為、心から傷つける為に青目から目を付けられた純粋無垢なマメが心配。なのに…どうした?マメ?!信じられない光景に戦慄が走った。何かの間違いでありますようにと強く願ったのに、綴じた糸が切られて封印が解かれてたなんて。今回ほど苦しさを感じた巻はない。命を懸けてマメを守る伊織。お願い、マメを返して!しかし甲藤って好きにはなれないけど、株が上がりましたね。2018/10/04