内容説明
さまよう霊を憑依させ、占いで生計をたてる“市子”が、とある依頼を受けたことをきっかけに、騒動に巻き込まれる(「うきあし」)。同心の手先をしている金物屋の主人が、根津界隈で男を騙しているという女を調べていくうちに、驚愕の事実を知ることになる(「根津の鬼女」)など、市井に暮らす庶民たちの喜怒哀楽を、軽妙な筆致で綴る、書き下ろし時代短編シリーズ、注目の第三弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shiozy
17
短篇集である。タイトルの「うきあし」は意味不明だが、副題の「あきんど百譚」に惹かれて読んでみた。江戸の商人や職人の姿が描かれているのだろう、と想像したが、ありゃりゃ肩透かしだった。帯に「心に響く四つの人情物語」とあるものの、どちらかといえば、ユーモアお気楽時代小説かな? 標題作「うきあし(浮き足)」、つまり幽霊なのだが、妾が数人、遺産相続でもめる話は軽妙で面白かった。2015/10/29
ぶんぶん
10
【図書館】あきんど百譚、市井の暮らしを描いて第三弾! 霊と交流が出来る市子である九女の風変わりな依頼を描く表題作をはじめ、苦難に立ち向かう船乗りの苦労話の「鞆の風」、縁があり武家の女房を助ける百姓が爽やかな気概を見せる「早稲田のみょうが」、沖八は金物屋だが同心の手先でもある、その沖八が巻き込まれた重大事とは…「根津の鬼女」の四編からなる人情時代劇。 あきんどの春秋を温かい筆致で描く人情譚。2015/11/29
klu
8
江戸お仕事小説3巻目。時代物が読みたくなるクールに突入したようです。満足しました。2015/11/09
よっしー
6
久しぶりにこのシリーズに帰ってきました!! どれも、最終的にはスッキリと綺麗に纏まった感じがして、さくっと読みたい時にはいいですね。表題作でもある、「うきあし」の意味に驚きです。昔から幽霊話や生霊はよくあったのかな。2017/04/30
はる
5
早稲田のみょうが、根津の鬼女が好み。田吾作の、なんだかんだ言って人がよく悪い事が出来ない所が、読んでいてやさしい気持ちになれる。根津の鬼女は、最後の怪談落ちが、なかなかいい。2019/09/11