内容説明
「わが一生は、一場の俄のようなものだ」。大侠客となった万吉は、播州一柳藩に依頼され、攘夷派の浪士たちが横行しだした西大坂を警備する侍大将を引き受ける。おのれの勘と才覚を頼りに、場当たり的に幕末維新から明治の騒乱の中をたくましく生き抜いた“怪態な男”の浮沈を描いた、異色の上方任侠一代記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
51
自らの勘と才覚から世渡りをする万吉のたくましさに脱帽です。時代の流れは否応にも人々を飲み込もうとするけれど、その中で規格外で異色の人物が万吉と言えるでしょうね。上方仁侠の人生といった感じでしょうか。2023/02/03
こばまり
47
なるほど規格外の人生だ。実在の人物であったというから舌を巻く。幕末の混沌を体現する存在だ。それにしても司馬作品を読むとなんというか、血湧き肉躍る道を歩む男の傍に、都合のいい女がいるよな〜と思ってしまう私です。2022/09/23
優希
44
時代の流れは否応でも万吉を巻き込んでいくようでした。しかし、己の勘と才覚を発揮しながら動乱の世を渡り歩くのがたくましいところです。自分の一生を「俄」に例え、たくましく生きた異色の男に惚れそうになりました。面白かったです。2022/05/01
kawa
43
女房・小春「死んで稼業もおまへんやろ」に「あほかい。もともとこの稼業死ぬことが資本(もとで)で看板や。この土壇場で逃げたとあれば稼業がめちゃくちゃや」と答える主人公・万吉。司馬作品の中では正統な流れに入らないかもですが、司馬作マイ・ベストテンには入る小気味よい作品。堺における土佐藩士・妙国寺切腹事件の切ない全貌が知れたことも含めて庶民から見た維新史としても秀逸。主人公の性癖・行動が自分と180度違う、なんともはや…憧れるなぁ。2019/06/21
Taka
43
明石家万吉、任侠道。下巻はGWということもあり一気読み。実在の人物でモデルがいるんやろか。それにしても万吉の取り巻きとして登場する人物のキャラが濃すぎて笑える。2019/04/29