内容説明
東京大学の沼野教授(ロシア文学)が、文学界の第一線で活躍する作家、詩人、エッセイスト、翻訳家たちと熱く語り合う人気対談集、第3弾。言葉やジャンルの圧倒的な多様性を前に、われわれはそこからどのような普遍性を見出すのか。文学は人間にとってお金よりも権力よりも大事なものである、と納得できる究極の読書ガイド。ゲスト:加賀乙彦、谷川俊太郎、田原、辻原登、ロジャー・パルバース、アーサー・ビナード。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tom
21
登場した辻原登は「普通の人は、普通に生きていて、特別の経験なんて滅多にしない。でも、「世界文学」には、すごい広がりがあって、普通では経験できないことを経験できる。これを楽しまないのは、もったいない。」と語る。この言葉で連想したのは、読友さんが、「ミステリーの喜びは、世界旅行の喜び」と語ったこと。世界旅行も楽しいけれど、ミステリーの中では、殺人鬼にも刑事にも、女にも変態にもなれる。いろいろに変身して遊んでます。単なるミステリー好きも高級学者さんも、根っこでは同じじゃないかと笑ってしまったわけでした。2021/10/02
かふ
18
前半の対談は面白く、後半は日本に暮らす元アメリカ人二人の対談。やはり谷川俊太郎は宇宙人と言われるだけ発想がぶっ飛んでいる。それは子供を相手に出来るかということかもしれない。谷川俊太郎の詩や絵本はまず子供たちの方から受けて、親たちが後から良さに気づくという。言葉遊びとか理屈ではないから。それぞれの対談で食い違う意見もあるのだが、その違いも認めるということか。田原氏の中国語が毛沢東によって汚染されたので、昔の漢字のロマンチシズムを日本語に求めるとか。外人は古い日本が好きだった。外人というのは良くない。2025/03/21
風に吹かれて
15
小説家・詩人編で、加賀乙彦、谷川俊太郎・田原(でんげん:詩人・翻訳家)、辻原登、異言語の味編で、ロジャー・パルバース、アーサー・ビナードと対談。2015年刊。田原が中原中也はグローバルな普遍性がないから中国語に訳すと彼のポエムの質感がぐっと落ちる、日本語では「そこそこのいい詩人」だけど、というのに対して谷川が何故普遍性がなければならないのか特別な文化圏で成り立っていればいいじゃないか「そこそこのいい詩人」と評価するのは日本語が母語ではないからではないかと追及。➡2019/06/20
mizuki
15
沼野充義さんとゲストたちが公開対談形式で文学について語るシリーズ本の第3弾。1と2を読んでいないですが、立ち読みで面白そうだったので、購入しました。海外の文学について面白いと語る加賀乙彦さんや、翻訳の違いがあることを教えてくれた辻原登さんが良かったです。紹介されていた本はどれも有名なものばかりでしたが、それぞれの思いが語られていて、より魅力的な文学に感じました。挑戦していきたいと思います‼︎2015/07/14
きりぱい
13
面白かった。シリーズの中では一番ゲストが地味(失礼!)に思えたのに、中身はなんの面白い。ロシア文学に魅せられた読書体験の話からリアリズム長篇について語る加賀乙彦との話や、内容が普遍だから受け入れられるのか、微妙なニュアンスを伝える翻訳の困難を語る田原(中国)と谷川俊太郎の視点にちょっと温度差があるやりとり、パルバース氏やビナード氏など、日常の会話のあり方から宮沢賢治の詩の実態まで、日本の言語の掘り下げ方が面白い。あとがき、ウクライナ情勢の裏で勇気ある批判を見せる作家にアクーニンやウリツカヤがいたとは。2015/05/18
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