内容説明
東京大学の沼野充義(ロシア文学)教授と最前線で活躍する作家・学者たちが「新しい世界文学」について熱く語り合う! 世界文学とは、もはや読むべき価値のある古典作品のリストではなく、言語の別を超えたまったく新しい文学のありようなのだ。世界文学を通じてわれわれはどう生きるべきか、現在到達しうる最深の知見がちりばめられた対談集。ゲスト:リービ英雄、平野啓一郎、ロバートキャンベル、飯野友幸、亀山郁夫。
目次
はじめに 世界文学のりりしいヒロイン(ヒーロー)たちのために
1 越境文学の冒険―言語のはざまを生きる(リービ英雄 沼野充義)
2 国境も時代も飛び越えて―ネットは文学を変えるか(平野啓一郎 沼野充義)
3 「Jブンガク」への招待―世界文学の中で日本文学を読む(ロバート・キャンベル 沼野充義)
4 詩を読む、詩を聴く―詩は言葉の音楽だ(飯野友幸 沼野充義)
5 現代日本に甦るドストエフスキー―神なき時代の文学者たちへ(亀山郁夫 沼野充義)
おわりに 「三・一一後」の世界文学を読むために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜長月🌙
65
5人の作家や文学者をゲストに迎えてそれぞれの得意とする分野から現代の文学や読書に切り込んでいきます。読書はどのくらいたくさん読むかではなく、何を選んでどう読むかです。そして何を選ぶかの正解は個人毎に異なります。つまりは一定の名作を読めば足りる時代ではなくなったのです。しかし、昔から生き続ける古典というものを無視することはできません。あなた自身の世界名作全集を編みましょう。2020/09/13
マエダ
59
亀山さんとの対談やドストエフスキーの考察は面白い。亀山さんのひととなりは初めて知ることができた。2019/02/20
流之助
21
日本文学と世界文学。確かにそのように二元的に分けて考えるのはおかしいな、と感じたり。世界的に見れば既に日本という国はそこまでエキゾチックでも神秘に満ち溢れてもいないのかもしれず、そうなるとノーベル賞辺りを日本人が受賞することは今の所ないのではないのか。そんな風に最近考えていた私にとって、物事を「文学」から見ていくのに助けとなる1冊。奇しくも台風被害に見舞われている今、ここもまた1つの転換期となるのかもしれない。2019/10/30
tom
16
沼野センセのシリーズの三冊目。私にしてみると、沼野センセは喋りすぎ。語りたいことがたくさんあるのだろうとは思うけれど、少々疲れる。この本に続く対談集の方がはるかに刺激的に思えたのでした。テーマは、文学は世界を見つめるか。文学は、世界を見せてくれるか。文学は世界を語るのかと、私は要約したのだけど、沼野センセがこの要約をどう思うのかは知らない。そして思うのだけど、私にとっては「世界文学」は口直しのために読むもの。私が好むミステリーやファンタジー、少し低俗な面白本との間に、それほどの格差があるのかということ。2021/09/19
naobana2
16
中高生向けみたいだけど結構難しい小説をすすめています。海辺のカフカ読まないとなぁ。2014/05/10