内容説明
ムンクの版画「叫び」におののくノルウェーの娘ジュリー(「夏の怖れ」)。体内から湧く激しい「衝動」の正体にとまどい、旅先のオスロで自死するオリエ(「ヴァイキングの祭り」)。明けるとも暮れるともつかない妖しい薄明が、街と森と湖をつつむ北欧の夜。その白夜の中に展げられる愛と孤独と憂愁のドラマ。「霧のカレリア」「白夜のオルフェ」を含む4編を収録。北欧を舞台に青春の彷徨を描いた香り高い五木文学の傑作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミプリン
4
日本とは違いすぎる北欧への旅が若者の意識にどう影響するのだろうと思いつつ読む。珍しさを楽しむだけでは済まない憂いを帯びた旅を終え、彼らはその後どう過ごすのか?しっとり心に残る4作品。2014/08/24
遥かなる想い
4
本作品を読み終えた時、深いため息をついた記憶が ある。 北欧の国々を描いた妖しい小説集としては、白眉の ものである。 2010/08/22
刺激的なソーダは過激
3
北欧って素晴らしい、いや、不思議。2013/08/28
のん
3
北欧では白夜の後に必ず来る長い夜。暗黒の時期と人間との対峙。ムンクの恐怖とヴぃーゲランの彫刻、そして明けない夜。デザイン大国、福祉国家という以外の暗い側面を描く。
たかぼー(人身御供)
3
北欧へ行った日本人にまつわる短編集。物語は暗く、ネガティブなものであるが、北欧、特にノルウェイの芸術についての描写は、旅行欲をかきたてる。日本人と外国人の価値観の違いを残酷に描いていたと感じる。2012/04/11