内容説明
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日本仏教の祖であり、一生不犯の聖人といわれる法然が救おうとした人々は、学もなく戒も守れない凡夫や女人たちであった。法然はなぜ新しい仏教を立て、末法の世に信仰の光をあてようとしたのか。法然には、少年時代に負った心の疵があり、人生に深い哀しみが秘められていた…。 知の巨人梅原猛が法然の哀しみの謎と人間像に鋭く迫り、真の平等思想を今、蘇らせる。構想10年、1300枚、入魂の大作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Book Lover Mr.Garakuta
7
図書館本:面白かった。仏教に関する知識は皆無。そうなのかと思い切った切り口での解説は面白い2019/01/19
moonanddai
5
後半のハイライトは専修念仏弾圧事件。この時期、叡山や興福寺からの念仏停止の要求に関わらず、朝廷が動かないのに業を煮やしたのが、天台座主、後鳥羽上皇寵臣、愚管抄を書いた慈円が「くさい」という…。一般的には弟子の女犯が事件の始まりと言われますが、どうやら真実は不明らしい。宗教の世界の勢力争いでしょうか。最後に、カバーには次のようにあります。「法然は、なぜ…凡夫、女人などの庶民を救おうとしたのか」と。それは父母が殺されるような乱世、末法の世への「哀しみ」から始まったということが大きなテーマだったようです。2022/02/13
中年親爺
2
法然が浄土宗を開祖した背景を探求する。それは、公家社会から武士社会へ転換していく混乱期にあって、権力闘争に敗れ悪人扱いで殺された父と母の極楽浄土往生を願う気持ちが原点という説。念仏さえ唱えれば悪人も善人も極楽往生できるという専修念仏。念仏行者は極楽往生したならば(往相輪廻)、再度衆生を救済する(利他)ためこの世に還ってくる(還相輪廻)という二種廻向。著者は、この二つが浄土宗のエッセンスと言う。2011/05/15
mew2
1
悪人正機説成立に存在する人間の悪の自覚ー日本思想の誇り。二種廻向説の利他精神・仏教の殺生戒を改めて学ぶべき。女人成仏思想にみる男女平等。口称念仏による徹底した平等主義。2012/07/01