内容説明
「ゴルバチョフが捨て身で提示した核全廃の選択肢を、ソ連の脅威を楯に拒否したのはアメリカ」「ソ連への牽制のため、イラン、イラクなどのイスラム国家を利用、対立する国双方に武器や資金を提供し、戦争の火種を撒き散らした」「イスラム原理主義者に直接・間接的に資金提供を続け、9・11テロの原因を作った」「未曾有の被害をもたらした9・11テロをも利用し、二つのイスラム国家に戦争を仕掛けた」ソ連とのあいだに生まれた緊張緩和(デタント)の機運は、米国政権内のタカ派の圧力ですぐに消え去った。ソ連崩壊後、単独の覇権を謳歌するアメリカは、世界の警察官を任じるに至った。史上最低と呼ばれた大統領のもと、非人道的な国家を援助し、大量破壊兵器を有してもいない国家に戦争を仕掛けその文明を破壊したアメリカでは、国内経済の瓦解がとどめようもなく進行していた。そしてその覇権にも翳りが見え始める――9・11テロはその象徴だったが、ネオコンの圧力のもと、軍事費は国家予算を圧迫して増大し続ける。未曾有の所得格差に怒りの声を上げ始めたアメリカ国民は、改革の兆しを初の黒人大統領、オバマに認めたが、その希望はすぐに失望に変わった……頽廃が忍び寄る「帝国」の病理を容赦なく描き出す、歴史超大作完結篇。(全3巻)
目次
第10章 デタントの崩壊―真昼の暗黒(フォード大統領の時代―アメリカの受けた痛手 南ベトナムの敗北と、反故にされたベトナムへの資金供与協定 ほか)
第11章 レーガン時代―民主主義の暗殺(「想像を絶する」、レーガン大統領の知的レベル 「ラテンアメリカがあんなにたくさんの国に分かれていたなんて驚いたよ」 ほか)
第12章 冷戦の終結―機会の逸失(ゴルバチョフ、冷戦の終結を宣言 ブッシュ・シニア―「究極のエスタブリッシュメント」大統領候補 ほか)
第13章 ブッシュ=チェイニー体制の瓦解―「イラクでは地獄の門が開いている」(イスラム過激派による9・11テロの衝撃 ネオコンにとって、9・11は「新たな真珠湾のような」好機だった ほか)
第14章 オバマ―傷ついた帝国の運営(「救済者」と思えたオバマは、事態をより悪化させた 経済顧問はほぼ全員、金融危機を招いたルービンの手下―彼らは嬉々として銀行家たちを救済した ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
読書ニスタ
かんちゃん
CCC
大竹 粋