講談社文庫<br> 破線のマリス

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講談社文庫
破線のマリス

  • 著者名:野沢尚【著】
  • 価格 ¥680(本体¥619)
  • 講談社(2024/10発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062649070

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内容説明

首都テレビ報道局のニュース番組で映像編集を担う遠藤瑶子は、虚実の狭間を縫うモンタージュを駆使し、刺激的な画面を創りだす。彼女を待ち受けていたのは、自ら仕掛けた視覚の罠だった! 事故か、他殺か、一本のビデオから始まる、超一級の「フー&ホワイダニット」。第43回江戸川乱歩賞受賞の傑作ミステリ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

436
ミステリーとして見るならば、不満な点があれこれと指摘されそうだ。とりわけ物語の終盤に来て、俄かにバタバタとそれまでの謎の部分の解明がなされ、しかも本質的な部分は結局明らかにならないままに終わる点がそうである。おそらく、この作品の一番の魅力は、テレビの世界が持つ構造的な長所と欠点とをリアルに描き出したこと、またそれを瑤子という魅力的な女性像を通して表現しえたことにあるのだろう。テーマは「真実」(とりわけTV的真実)の虚妄と空虚さを伝えることにあり、その意味でも末尾の1文はまことに秀逸である。2020/02/16

イアン

130
★★★★★★☆☆☆☆江戸川乱歩賞を受賞した野沢尚の長編。ニュース番組の映像編集を担う瑤子の元に届いた内部告発者による1本のテープ。それは放映利権に絡んで疑惑の死を遂げた弁護士殺害の犯人を示唆するものだった…。それはスクープか、それとも巧妙に仕組まれた罠か。そして瑤子を付け狙う不審者の正体とは。中盤以降の暴走でリアリティを欠いた感は否めないが、徐々に疑心暗鬼に陥っていく心理描写は巧み。乱歩賞受賞で錯覚しがちだが、犯人当ての本格ミステリというより(20年前の)放送業界の内情を暴くサスペンスとして読みたい作品。2022/09/19

サム・ミイラ

126
野心溢れる凄腕女性エディターの栄光と破滅。テレビ局版白い巨塔といったところか。滑り出しは郵政省の汚職と弁護士の謎の死に絡んだ陰謀渦巻く展開に夢中になったが、徐々に本筋から離れ報道被害という視点にすり変わりテレビのもつ公益性と裏腹な危険性、問題提起と自己批判の物語となってしまい肝心の陰謀劇はほったらかしというか全く決着がつかぬままでやり切れなさの残る作品だった。正直解説にあるようなフー&ホワイダニットにはなってないように思う。また真の撮影者の正体もかなり無理があるように感じた。これって面白いのかな2014/10/08

🐾Yoko Omoto🐾

102
第43回江戸川乱歩賞受賞作。報道番組の映像編集者「遠藤瑶子」が手掛けたある編集映像により一人の男性の人生と、更には自分自身までもが狂わされていく…という報道の在り方を問う内容。既視感を伴い脳内に映像が再生される流暢な文体と凄まじいまでの『虚々実々』な二人の攻防は、さすが脚本家で慣らしたと感じさせる臨場感ある読み応え。だが主人公のエゴイスト加減に好感を持てず、猜疑心や被害妄想からの異常な行動と心理状態にも共感どころを見出だせないまま。またラストの真実には驚きはしたが、本筋から外れた奇妙な違和感のみが残った。2014/02/21

ゆか

92
報道に携わる人達のお話。自分がそちら側の人間ではない為、報道される側の方に感情移入した為か、主人声の女性を好きになれなかった。自分本位な行動に、こんな人が独断でテレビを介して報道するなんて怖いでしょ…と。ただ、こんな人は多くいるのでは…。抗議にものらりくらりとかわして、被害にあった人は泣き寝入りなんだろうなぁ〜と。著者は脚本家として知っていたのですが、小説を書いてるとは知らなかった。たまたま見かけて手に取ってみたけど頭が良いんでしょうね〜。爽やかな本が読みたくなる読後感でした。2016/09/07

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