内容説明
『古事記』『万葉集』『従然草』『富嶽三十六景』、祭り、花見、能、老舗など、日本文化を貫く原理を美術史の国際的権威が、比較文化の視点でわかりやすく説き明かす。日本文化の真髄がわかる全10章。
目次
第1章 日本文化のすごさの源泉
第2章 自然信仰によってつくられた日本文化の独自性
第3章 『万葉集』を読めばわかる日本のすごさ
第4章 神道の心をうたう歌人・西行
第5章 “気韻生動”で表された御霊信仰
第6章 日本文化の中心にはいつも天皇がおられた
第7章 神話が語る日本文化の特色とは
第8章 聖徳太子の「和の精神」とは何か
第9章 『徒然草』と日本人
第10章 文化大国・日本
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
71
神道を中心に考察した日本歴史の再考を試みる。著者は美術史の専門であり、そのくだりは興味深かった。2017/11/16
ごへいもち
14
世界に知られざる日本の文化を日本人である自分達も知らなかったなぁ2013/10/06
壱萬弐仟縁
12
葛飾北斎は、富嶽三十六景で有名だが、「江戸が富士山によって守られている町であるということを認識しているはず」(64頁)と、著者が指摘する。だが、噴火するので守ることにはならない。3・11以降、外国からは日本人の自然信仰に注目されているという(79頁)。被災者の秩序正しさ、忍耐強さの謎である。枯山水庭園の例からすると、人間は自然の一部だという体現なのだということか(84頁)。超高齢社会になる日本だが、日本人は老いを肯定的にしてきた(150頁~)。重源上人坐像がその象徴だ。仏に接近するからなのだという。ほぅ。2013/07/05
Kaz
6
第2章の日本の自然信仰がヨーロッパの文化に与えた影響を論じたあたりは、日本人として誇りに思え、嬉しくなりました。日本の風土、環境の独自性に、日本人はもっと自信と誇りを持つべきだと本書を読み痛感しました。2013/08/30
kasugaitaro2011
4
欧州人には,歴史的に戦争や闘争は常態で,民族の遺伝子にその経験が刷り込まれている。彼らの人間観の根っこに争う事,戦う事に備えなければならないという感覚,覚悟があり,常に戦う状態が人生であり,生活である。一方,日本は争う必要が無かった。水があり森があるから。与えられた自然状況の下,争わないという人間の生き方は人間本来のあるべき理想的な生き方。キリスト教の新約聖書や儒教で道徳を語られるが,日本では道徳が文章として書かれた訳ではない。文字に表す必要のないぐらい,普通の人々が実践していた。2013/06/17