出版社内容情報
ランド・パワーとは国家が支配下に置く陸地を整備、活用する潜在的、顕在的な能力の総称。地政学の創始者であるハルフォード・マッキンダーが提唱した概念であり、地政学においてランド・パワー超大国そのものを指す場合もある。
陸地は古来より人間にとっての基本的生息地であり、海・空と違い占有が可能であり、その絶対的な重要性は普遍であると考えられている。故に戦争の最後の勝敗を決するのは陸上戦力と位置づけられる。地政学においては、強大なランドパワーの保有国は強大なシーパワーの保有国と対決するものとして位置づけられている。
ランド・パワーの構成要素としてはまず基幹的な要素は陸上戦力であり、ここから派生した陸地とその陸地における住民・資源の支配権である。基本的に大陸の大部分を領有する国家はその量的な観点からランド・パワーに優れた国家であり、島や半島を領有する国家は強大なランド・パワーを求めることが出来ないと考えられる。双方を求め破綻に至ったのが戦前のドイツ、日本と言える。
空、宇宙、サイバー空間支配の重要性が高まっているが、ウクライナ危機に見られるようにサイバーの前哨戦を言えた後はやはり地上の支配をめぐるランド・パワーの戦いとならざるを得ない。それゆえ、ランド・パワーは人類が永遠に追い求め、守る対象なのである。経済安全保障をはじめとする安全保障論議が身近なものとなっている日本においてもランド・パワーに関する知識は国際政治を理解するうえで欠かせないものとなる。
本書は、理論・歴史・未来をバランスよく記述した体系的解説書。執筆陣には、ブライアン・ボンド、フィリップ・セイビン、ウィリアムソン・マーレ―ら世界的な権威も参加する。
内容説明
軍事ドクトリン、ロジスティクス、インテリジェンス、連合・統合作戦、国民総武装、水陸両用戦争・作戦、エアランド・バトル、デジタル化などからランド・パワーの本質に迫る。理論、歴史、実践、将来像を解説する軍事戦略の必読書。最後の勝敗を決するのは陸上戦力。戦史を題材に運用の論理を解明する。
目次
第1部 ランド・パワーの理論(ランド・パワー―1900~2000年;ランド・パワー―その過去、現在、将来;軍事ドクトリン―知性の戦力化 ほか)
第2部 ランド・パワーの歴史(古代ギリシア・ローマの戦争―戦いの叡智と知られざる銃火器以前の戦争;西部戦線での統合あるいは諸兵科協同作戦―1918年;第二次世界大戦における連合・統合作戦―イギリスとアメリカを中心に ほか)
第3部 ランド・パワーの現在と将来(エアランド・バトルと現代戦;陸軍のデジタル化とイラク戦争―戦場の情報化;ランド・パワーの将来構想の軌跡と展開―アメリカ陸軍マルチ・ドメイン・オペレーション構想を中心に)
著者等紹介
石津朋之[イシズトモユキ]
戦争歴史家。防衛研究所戦史研究センター国際紛争史研究室主任研究官
立川京一[タチカワキョウイチ]
防衛研究所戦史研究センター長
齋藤達志[サイトウタツシ]
防衛研究所戦史研究センター史料室所員(2等陸佐)
岩上隆安[イワカミタカヤス]
陸上自衛隊北部方面総監部情報部長(1等陸佐)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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