内容説明
大反響を巻き起こした『時の地図』の続篇驚愕と興奮の仕掛けに満ちた傑作。19世紀末、圧倒的な力を持つ異星人がロンドンを攻撃、支配下に置いた。苦しむ市民を救うため作家H・G・ウエルズが立ち上がる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
亮人
19
ウエルズオマージュ第二弾。前作は『タイムマシン』を下敷きにした『時の地図』だったが、今回は『宇宙戦争』。相変わらず、話が本筋から脇道の脇道くらいまで、のらりくらりと脱線しまくりのヘンテコ筆致。南極での火星人怪物との戦い、ニューヨーク恋物語、となかなかロンドンのウェルズが出てこないのもご愛嬌。広い心で読もう!なにやら仕掛けも込められているようなので、急いで下巻に行きます。2014/01/04
もち
17
「別のエンディングにしようと考えたことはなかったのかい」◆1829年の南極で、探検船が遭遇した未確認生物。死闘の末、地球の平和は守られたかに見えたが――。1898年、「宇宙戦争」を上梓したウエルズの前に、彼の著書どおりの状況で宇宙船が現れる。■シリーズ第2作。冒険小説として格別に楽しい第1部を皮切りに、ジャンルを飛び越え、無類の創造力を秘めたが物語が炸裂。巧みにプロットへ絡められた実在の人物、ミスすら盛り込んでしまう飄々とした語り部、絶望に絶望を上塗りする攻防戦。先読みなど無意味、反則級の面白さ。2019/05/10
スターライト
7
パルマが題材に選んだのは、ウェルズ『宇宙戦争』。しかし上巻では、南極にあるという地底世界への入り口(!)を目指す探検行が語られたり、そこに出てくるアランが実はあの人だったり(?)、作者自身も時折登場したりで、何とも愉快。エマに思いっきり振られるギルモアもその正体は…だったり読者サービス満点。この勢いのままラストを締めくくってほしい。2014/06/04
万博
6
「不思議」と「仕掛け」のあいだを存分に彷徨わせてくれる今シリーズ。今回の題材は『宇宙戦争』。前半はほぼ、レイノルズという夢見がちな野心家が率いる北極探検隊が遭遇する危機のお話。大冒険すぎて、ウェルズが主人公であることをすっかり忘れてしまいます。この探検隊には、その後の元祖推理小説家も参加していて、史実との組み合わせ方が絶妙。ウェルズに託されている作家論が興味深い。ロマンスが楽しめるはずの、マリーとハーロウ嬢の関係がいまいち…。エピソードのつながりはまだうっすらとしていて、どうまとめられるのか楽しみ。2013/02/17
すけきよ
6
まず、前作の登場人物やネタバレが出てくるので、読んでおくことを推奨。前作が、本当ににタイムトラベル?それとも嘘?という疑いを抱きながら、登場人物と一緒に読者も最後までふらふら歩んでいく作品だったけど、今回はモロにSF。しかし、それでも前科(笑)があるため、疑ってかからねばならない。しかも、弁士の如き滑舌なめらかな全能たる語り手がどうにもフェアに思えない。信用ならない語り手を含めたレイヤー、火星人は(物語内で)リアルなのかウソなのか、さらに改変された歴史叙述にも目を光らせて読み進める必要がある。下巻に続く2012/11/26