内容説明
霊長類学者でゴリラ研究の権威である山極寿一氏が「暴力の由来」というアクチュアルな演題で、人間とその他の霊長類の暴力について解説した講演と、ユング心理学者との討論を収録。また、ユング心理学に関する学術論文4本と日本ユング心理学会第1回大会の印象記が日本におけるユング心理学の現在の姿を伝える。
目次
シンポジウム(基調講演「暴力の由来」 討論―基調講演を受けて)
論文(個性化と多元的宇宙―ジェイムズ思想によるユング心理学再考 幻獣のアクティブ・イマジネーション 出会いと別れの接点―末期がん患者との面接過程 軽度発達障害における『イメージと言葉の乖離』について)
大会印象記
感想・レビュー
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Gotoran
44
ユング心理学研究第3巻。人類学者、霊長類学者でゴリラ研究の第1人者の山極寿一先生の基調講演「暴力の由来」に続き、基調講演を受けての討論会、更には4編の研究論文と本書刊行の前年に開催された第1回日本ユング心理学会大会の印象記2編が収録されている。基調講演ついて。暴力という視点から霊長類だ辿った進化、食物あるいは性を巡る葛藤とその解決法について語られ、最後に人間に特有な暴力は霊長類にはない「集団への強い帰属心」から生まれたと。ユング心理学に関心のある人には知的好奇心を満たす書籍と感じた。2019/02/13