内容説明
爆弾テロの捜査を進めるうちに、公安の並河警部補は、チームを組む丹原三曹とテロの実行犯「ローズダスト」の入江一功との深い因縁を知る。職場では、ハム(公安)の脂身と蔑まれる並河との、人間的なふれあいに戸惑う丹原だが、過去の罪をあがなうため、入江との戦いにのめりこんでゆく。その頃、平和ボケの日本に変革を促そうとする真の敵は、2人の想像を絶するところで動き出していた。最後にして最大のテロがはじまり、臨海副都心はまさに戦場となる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シ也
50
“マル六の作業玉”と並河の密会と丹原に接近する一功が描かれる冒頭。丹原と一功が袂を断つきっかけとなった「LP」が描かれる中盤。でも個人的に一番興奮したのは最後の方で丹原を救出するために羽住と手を組んだ並河がダイスと戦いを繰り広げるシーン。特に上層部の思惑で何も知らない現場(銃器対策部隊)がダイスの本丸で睨み合いからの乱闘に移行するシーンでは、上層部と現場の連携の取れていなさと突入シーンが描かれ、警察小説ファンとしては生唾ゴクリものの連続だった2015/12/17
KAZOO
39
この中盤では過去のことがかなり明確になってきます。福井さんの書き方は非常に私に合っている感じがします。今の若い人にはあまり合わない感じもしますが、これだけ詳しく書かれると読後感も非常に印象に残るものになります。2014/09/23
姉勤
37
俺は先に目覚めたんだよ、耐え難い痛みによって。その痛みを国民に共有して差し上げよう。テロリストと護る側。幼馴染に似た境遇を過ごし、繋いでいたものが欠落することで袂を分つ過去。正常の名の下に行われた殺人。隠蔽された無法。贖いきれない過ち。見目麗しい平和の陰の、汚物を溜め込んだハラワタを白日に晒し、炎によって浄め戦後を清算する。過去の怨念返しが勝るか、新たな人間関係に見出した、かけがえの無さか。湾岸副都心が舞台ゆえ、「踊る大捜査線」の時代にもリンクするが、ぬれ煎餅をゲンコツ煎餅にしたような物語は、最終段階へ。2024/11/14
hrmt
36
自分の頭で考える事を放棄して数十年の日本。都市部で発生したテロによって右へ右へと世論が誘導されていく様子は如何にも有り得そうで恐ろしい。個人的復讐だけでは到底収まりきらない憂国の裏事情が少しずつ見えてきましたよ。いよいよ最終巻へ〜2017/03/12
gonta19
35
2009/2/14 ジュンク堂住吉シーア店にて購入。 2013/3/6~3/12 朋希とローズダストの過去の確執が明らかになりつつ、現在の戦いも緊迫してくる。下巻でどういうふうにストーリーを畳み込むのだろうか。楽しみである。2013/03/12