内容説明
かつて防衛庁の非公開組織に所属していた、丹原朋希と入江一功。2人の胸には常に、自分たちが救えなかったある少女の言葉がある。同じ“希望”を共有しながら、情報機関員とテロリストという、まったく異なる道に分かれた2人。入江たちが仕掛ける最後のテロで、もはや戦場と化し、封鎖された東京・臨海副都心。日本中が見守る中、この国の未来をうらなう壮絶な祭儀が幕を開けた。新しい何かは生まれるのか? 前代未聞のスペクタクル、驚愕の完結篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
40
やっと最後までたどり着きましたが、やはり福井さんの長編は読みでがあります。書かれるご本人もこれだけ書くとかなり消耗するのではないかと思います。読んでいるほうはさらに結末がどのようになるのだろうとハラハラしながら読むので余計力が入ります。それにしてもうまく決着をつける気がします。しかも日本の問題点をよく俎上に載せてくれます。2014/09/25
gonta19
38
2009/2/14 ジュンク堂住吉シーア店にて購入。 2013/3/13〜3/18 いよいよ、クライマックス。TPexをめぐる攻防は読み応えあり。とても面白く読めた。が、結局ローズダストの目指した世界観が今ひとつ理解しきれなかったのが、残念。2013/03/18
姉勤
37
必ず待っていてくれる人がいる。そこはこの世か、あの世か。それとも逢うこともない未来か。臨海副都心に炸裂する雷を万倍にしたかのような爆発。震災を未経験ながら予見したかの様に、それを思わせる描写。「破滅」。それは手段であり目的ではない。未来を託す。破壊者も保護者も目的のため命を賭ける。就職氷河期世代と重なる本作の若者と、導く実力も経験も得られず歳を重ねたと嘆く、本作の大人たちの歳がリアルで重なる。恨み、妬み、僻む余裕を、微力でも利他へできる事で費やすなら、どんな微力でも、それぞれの命は意味あるものへ繋がる。2024/11/17
hrmt
32
臨海副都心が破壊されていく描写は恐ろしいほどで、この迫力は映像でみてみたくなります。もしもテロ対処の裏にこんな事情が隠されていたなら…と思うとゾッとする。一功も朋希も共に古い言葉でしか世を見れない“集まり”の犠牲者であるのに、その二人の結末が悲しかった。古い言葉や集まりに囚われてその身を雁字搦めにされてしまった人達の中にも、未来に新しい可能性を信じられる個人は必ずいると思いたいし、その底力がある国であるはずだと信じたいと思いました。2017/03/20
hnzwd
29
大団円。読むのに時間がかかってしまったけど、最後は一気読み。テロリストであるローズダスト側の純粋さと政府側のあざとさが対比されているため、敵側に肩入れして読んでしまいました。特に圧巻は留美。一騎当千の戦いっぷりと、ラストの描写。惚れます。2012/10/21