内容説明
認可間近の経口抗癌剤MP98の第三相試験中、末期肺癌患者が喀血死した。彼の死は当然のものと思われたが、主治医の倉石祥子だけが首を傾げた。同薬の「副作用がない」という触れ込みに疑問を抱いた彼女たちは、認可差し止めに動きだす。その一方で、関係者が次々と消されていく……。 製薬会社、大学病院、新薬認可を巡る思惑と深い闇を描き出した、書き下ろし医療ミステリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
24
副作用がなく非常に効果の高い経口抗癌剤の認可が間もなくおりようとしていた。しかし・・。乱風&祥子シリーズ第1弾。実際に副作用のない癌の特効薬があったらどれだけいいだろうかと思わずにはいられませんでした。そして薬の認可に関する影の部分も描かれていてなかなか興味深い話でした。そういった前半部分は良かったのですが、後半がちょっと・・。こと恋愛になると何だかがグダグダな感じがしたのが残念でした。とりあえず続きも読もうかと思います。★★★2012/05/20
youyou88
7
お医者さまが書いた小説なのでリアル。 こういうの読むと病院への不信感が…。 https://ameblo.jp/harayou1223/entry-11345748613.html2023/01/08
京 遊
6
効果が著明で副作用のない薬があれば医療側にとっても患者側にとっても福音となるが、実益として一番なのは製薬会社だ。創薬から上市までの十数年の研究者、開発部やMR等営業の尽力の賜物であるはずの新薬が天下り人や現代の進歩についていけない上役達の賄賂的なやり取りに化けるのが苦々しい。しかも命に関わる重大な毒作用を持っているのを知りながら。今服用している自分の薬にそんな一面があるならばゾッとするが、患者としては症状が抑えられるのが第一なので もどかしさが残る。 話中の恋愛模様は冗長過ぎてキュンともしないのが残念。2022/05/25
TsumuRi
3
副作用のない薬という夢、それに絡む莫大な金銭的利益。製薬にはそういう側面はあると思う。が、開発の現場の仕事は非常に地味である故に、上層部でこういうことされてたらすごく嫌だ。つか、現行のGLP下じゃデータ隠しとかできませんからね? それ以外はある程度のリアリティはあると思ったが、いきなり挿入された恋愛要素と消化不良気味のラストのせいで一気に興醒め。それまではすごくよかっただけに、正直「惜しい」作品。「ミステリ」と呼ぶのはちょっと違うと思う…2010/02/01
島田喜美子
2
新薬許可を巡る製薬会社大学病院の 思惑と深い闇が描かれ凄く読みがいがありよかったです。 でもこちらを先に死の天敵より 先に読めば登場人物がわかり やすかったかもしれません2019/11/23