内容説明
自分を敵視する騎士の攻撃により、意識不明の重体に陥った雪乃。彼女の重荷をなくすため、蒼衣は単身、未だに手がかりの見えぬ<泡禍>の謎へと立ち向かう。そして、失踪事件を発端とした悪夢の結末に待っているものとは──!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
60
物語の中で悲劇を描く時、その悪辣さが誇張されたり、現実の苦さを一滴、加える事がある。この物語の場合は後者だ。直向きで真摯だからこそ、偏狭で幼稚な正義感は何も救わない所か、一番、大切な人を奪ってしまった。しかも泡禍が生まれるきっかけになった人物は起こった悲劇も自分が何をしたのかも忘れて生きていくのだ。これを理不尽と思う人は多い。でもこの世は決して平等でもないし、帳尻も合わない。元凶や加害者は必ず罪悪感や贖罪の意識を抱くような事も起きず、忘れて生きる事がある。何故ならこれが現実の一端だからだ。2021/06/26
まりも
46
赤ずきん後編。今回の保有者は予想通り愛だった訳ですが2年前から始まっていたのが凄まじい。その狂気がジワジワと街にまで広がっていたとか最初から救いようがないしこうなるのは必然だったのかな。前回少な目だったグロ描写も大量で、鋏で腹を切って石を詰め込むシーンは本当にきつかった。この作品の描写はリアルな痛みと怖さが伝わってくるんですよね。今回の事件はこれまでで一番規模が大きく救いの無い話で印象に残りました。「人間にとって本当に恐ろしいのはやっぱり人間」っていうのは言いえて妙だな。2015/01/18
坂城 弥生
41
風乃の言った事ってそんなに残酷かな?勇路のせいで被害が増えたそれは一人前を自負してる人には告げるべき事では?2022/03/10
Yobata
35
雪乃や笑美から守る為、勇路は瑞姫と愛を連れて逃亡する。しかし斎藤家で発見された死体,雪乃が焼いた知沙都から今回ほ泡禍は人間を摸写し成りすます性質を持つことを知る。赤ずきん,さらには類話である七匹の子ヤギ…人間を騙し喰らう獣“狼”は何を暗示し誰が役割を担っているのか…?赤ずきん,後半。お婆さんになりすまし赤ずきんを騙し喰らいながらも腹を切られ石を入れられた狼繋がりで類話である「狼と七匹の子やぎ」も絡む下巻。人を騙し襲う関連から怪談ののっぺらぼうまで及ぶ解釈は面白かった。確かに「お前を食う為だ!」の所は→2014/06/26
アウル
19
上巻が比較的マシだった分下巻がすごい怖かった。今回の解釈はいろいろ混ざりすぎて解りにくかった。『人間にとって本当に恐ろしいのはやっぱり人間』というのは解るな。2013/05/24