内容説明
聖徳太子の理念は、中大兄皇子らによる「大化改新」事業に引き継がれた。東アジアにいかに生き残るか? 朝鮮半島の友邦・百済救援のため、運命の「白村江の戦い」へと突入していく。
※単行本『古代からの伝言 日出づる国篇』(二〇〇〇年九月、小社刊)「第二部 水漬くかばね」を分冊し、文庫化したものが底本です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TheWho
12
記紀や様々な古代文献から古代日本を紐解く古代史絵巻「古代からの伝言」シリーズ第五巻。本巻は、日本史上超有名な蘇我入鹿暗殺事件である乙巳の変、いわゆる大化の改新から白村江の戦いに至る天智天皇の御代を語る。物語は、中臣鎌足と中大兄皇子の出会いから始まり、乙巳の変を経て豪族連合から中央集権国家へと変容させる大化の改新、そして三韓・唐の思惑から白村江の敗戦に至る古代史最後の対外戦争と敗戦処理を克明にかつ劇的に語っている。後に万葉家人の大伴家持が謡った心そのままに「海ゆかば水清くかばね・・・」。心に残る一冊です。2015/02/11
詠月
7
中大兄皇子と中臣鎌足の主従は最初から最後まで信頼しあっていました。二人が進めた大化の改新が不十分であるために壬申の乱がおきますが、古代の歴史は面白いなぁ、と改めて思います。2013/08/24
ヘムレンしば
1
ケヤキの木の下での中大兄皇子と中臣鎌足のドラマチックな出会いから、乙巳の変、大化の改新、そして白村江の敗戦、百済・高句麗の滅亡まで。豪族達の寄合政治から中央集権国家を興そうとした時代ですね。企業にしろ国家にしろ、創業のときが一番面白くてワクワクします。本当はもっと色んな対立があったのだろうなぁ。白村江の戦いでは規模の大きさに驚かされます。この後、朝鮮とは政治的には縁を切って、次に絡んでくるのは明治になってからなんですよね。2016/05/10
iwazer
1
大化改新キター!本書の中大兄皇子と中臣鎌足はとてもいい男。 大化改新から白村江の戦いを経て二人が亡くなるまで、ここまでの本シリーズで最も長い物語。最後、鎌足が死ぬシーンで、不覚にも少し涙ぐんでしまった。2008/06/21
ゆっきーまうす
1
参謀になりたい。トップに立てる器にあらず。名捕手名投手を育てる。自分が目指していきたい姿がそこにあった。鎌足の人物像に憧れる。それでも死ぬときは後悔の念とは。昨日体感した東大寺の修二会といい、日本の文化、歴史は本当に奥深い。2011/03/10