内容説明
謀叛に巻きこまれ、子国は果てる。3年の長きにわたり喪に服した子産はその後、苛烈なる改革者にして情意あふれる恵人として、人を活かす礼とは何かを極め、鄭と運命をともにしていく。時代を超えることばをもった最初の人・子産とその時代を、比類なき風格と凛然たる文体で描く、宮城谷文学の傑作長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
82
下巻になるといよいよ子産の活躍の場が与えられます。鄭の執政になって自分の信じることを行う、本当に民のための政治を行うということで、礼をもって政治を行うということで孔子も称賛しています。読んでいてすぐ頭に思い浮かぶのはなぜか日本の政治家ばかりです。2015/08/16
著者の生き様を学ぶ庵さん
37
子産は孤高の天才に非ず、択能使之(たくのうしし)、能ある者を択び、之を使う。次の宰相と思しき子大叔、外交・辞令に長じたる子羽、予言・計画策定に優れたる裨諶(ひじん)、政策決定の馮簡子。これに大卿たる子皮を加えたる者に子産は輔弼さる。独善たる孤高の天才に非ざるところ、宮仕への我が身も學ばむ。お手本は孔孟にあらず、太公望・晏嬰・管仲・子産・楽毅・孟嘗君なり。朋友・同士・食客の類は不可欠なり。2016/01/23
akira
28
子産下巻。 非常に読み応えのある一冊だった。子産という人の魅力に惹かれその動向から目が離せない幸せな時間だった。人としてどうありたいのかを垣間見た。 思えばこうやって感想の最後に引用した一節も、1000を大きく超えた。読書に本格的に耽溺できるようなったのは、ことば面白さに惹かれるようになったからと言える。時や場所を越えて伝わるのは、そこに内在する人間性のおかげだろうか。残したいことばに出会えるのは読書の楽しみだなと。 「時代を越えてゆくことばをもったのは、子産が最初の人であった」2021/11/28
サチオ
21
再読。父・子国を亡くした後、現代にも通じる数々の修辞を残した子産。作中のいくつもの言葉が微笑みを生じさせて暖かさが胸を満たす。子産の他にも興味深い人物が幾人もいて、子展や子皮の政治的姿勢や、楚の共王の諡の逸話にも思いを通わせた。最後に大国・晋の危うい立場にいた宰相、士カイへの愛情ある苦言が特に気に入っています。「あなたのおかげでわれわれが生きている、と人にいわせるようになさい」。その後の彼の真摯な姿勢が全てであると思う。私の人生の教科書です。2013/12/07
フミ
18
中国・春秋時代中期(?)の名政治家と呼ばれる人のお話、後半に入って早々、主人公の国で大事件が起きて、主人公が颯爽と活躍するのですが、その後は物語のようにはいかず「あれ?」と、謙虚に脇に退いてしまいます。以降は基本的に晋と楚の強国と、間に挟まれた主人公の所属する鄭(てい)が、如何にして戦争の少ない、落ち着いた時代に行きついたか?が、歴史の解説書のように、丁寧に描かれている感じです。主人公、最後は鄭の国の宰相になるのですが、あまりにも後半過ぎて、政治の内容の文章が詰め詰めで、僕には難しかったですね…。2022/08/04
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