内容説明
信義なき世をいかに生きるか――春秋時代中期、小国鄭は晋と楚の二大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。二代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
87
日本の三河を中心とした物語を読み終わりまた中国の物語に戻ってきました。春秋時代に強国に囲まれた鄭という国がどちらを向いていいかわからずに疲弊してしまっているときにこの主人公の子産の父親が活躍します。また息子の子産も後半で活躍の場を見つけます。下巻ではどのような動きを見せてくれるのでしょうか?2015/08/13
ふじさん
77
吉川英治文学賞受賞作。春秋時代中期、超大国の晋と楚に挟まれた小国の鄭は、綱渡りの外交でなんとか苦難を乗り越えてきた。鄭の執政を取り仕切る最高実力者の子駟は王を支えながら、様々な策を講じことで、司馬の子国は戦乱の鄭で鮮やかな武徳で、二人で力を合わせ難しい舵取りで国難に立ち向かう。子国の嫡子の子産には、まだ出番がないが、春秋時代全期を通じて最上の知識人として評された片鱗は、親子の会話に見られる。下巻での子産の活躍が楽しみである。久しぶりの長編だが、やはり中国の歴史は読んでいて面白い。 2022/02/06
遥かなる想い
76
以下の紹介があったが、正直なところ、「子産」が全く頭に浮かんでこなかった。小国鄭は晋と楚の二大国間で向背を繰り返し、戦乱の鄭であざやかな武得をしめす名将子国と、その嫡子で孔子に敬迎された最高の知識人子産。 二代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげた歴史叙事詩。2010/06/12
NAO
69
孔子が絶賛した子産は、春秋時代の中頃、大国楚と晋の間にはさまれた小国鄭の政治家。大国にはさまれているがゆえに疲弊していく国と民。この混迷の時代に、子産は、どうやって登場し、名をあげていったか。2020/08/28
著者の生き様を学ぶ庵さん
35
子産は鄭国・穆公・蘭が孫にて、公孫僑のあざななり。父・子国が異母兄・子駟は鬼才にして、晋・楚間の面従腹背外交を鄭国の進む道と決めたり。上巻にては、子国の武勇いと甚だしく、子産は賢しき嫡子たるも、子国は武人たり、文人たる子産の行く先を照らす才はなし。この親子関係は厳しき緊張感を孕み、晏弱・晏嬰の如き微笑ましきものにあらず。子産の政権はいつのことか。面従腹背外交にけりは付きたるか。2016/01/16