内容説明
奈良の唐招提寺を訪ねた芦村節子は、芳名帳に大戦中の外交官だった亡き叔父・野上顕一郎の独特な筆跡を見た。名前は違うが、こんな変わった筆跡はほかに見たことがない。叔父は戦争末期、スイスで死亡しているはずだ。しかし、もしかしたら……と疑いが彼女の胸に湧いてくる。野上未亡人・孝子とその娘・久美子、節子の夫・亮一は、節子の話に取り合わないが、久美子の恋人である新聞記者・添田彰一は、筆跡の話を聞いて、ある予感を受ける。著者会心の国際謀略ミステリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハイク
3
「球形の荒野」とのタイトルに惹かれて読み始めた。古都奈良の薬師寺等を巡る詩情あるプロローグである。そこで特徴ある筆跡を芳名帳から発見してから物語が展開する。そして読み進めると突然画家が殺され、モデルとなっていた女性のデッサンが持ちさらわれていた。後半はどのような展開になるのであろうかと推理してみるがわからない。後半が楽しみだ。2012/12/23
しんた
3
昔テレビで見た気がした。信州が舞台になることが多いような。2012/05/19
BookaBoo
1
初のきちんと松本清張。ホテルで他人の宿泊情報教えちゃうとか、今の感覚だと、え?と思う部分は多々あるもののそういう時代の事件捜査の限界とかも手伝って成立することもあると思った。それぞれの人物が何を考えているのかどういう人生を送ってきたのかが細かく描かれているわけではないものの、読み終わって俯瞰したときにそれぞれの人生が戦争に巻き込まれたありかたにふと思いをはせる。2021/10/17
nonchi
1
下巻に続く!2018/03/20
稔田 虹
1
芳名帳の筆跡を元に、売国奴として国籍を捨てた男を探し、そこに複雑な歴史を絡めつつミステリーに仕立て上げた清張の傑作。2012/10/04