内容説明
新聞記者・添田彰一は、恋人・野上久美子の父が「戦時末期にスイスで病死」と報じられたにもかかわらず、生きているのではないかという疑惑を確かめるため、ひそかに取材を始める。とたんに立ちはだかる障害。どんな事実が戦争末期から今まで隠されてきたのか? 久美子の回りに起きる奇怪な事件の意図は? 戦争終結時の国際外交の裏舞台と絶ちがたい骨肉の愛が交錯し、そこに殺人事件が発生する。松本清張ならではのスケールで描く、国際謀略ミステリーの傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つきみ
12
先へ先へと読ませるスピード感のあるストーリーと、その当時の言葉遣い、清張の美しい日本語との調和がとても心地よく、読んでよかったと思えた作品。ともすれば教科書を読んでいるようになってしまいがちな内容も、ミステリー仕立てでさらりと進み、感動的なラストも秀逸。読み残している清張作品を探したり、再読したり、もっと読み進めていきたい。2014/09/20
AICHAN
5
清張さんの作品の中一番は初期の短編だな。長編でも初期のものはいい。「球形の荒野」もそのひとつだ。文学的な雰囲気もあって最も好きな作品のひとつだ。でも売れてきたら似たようなストーリーを大量生産していた。あれは残念だった。読みはじめてすぐ結末がぴんとくる作品ほど面白くないものはない。さて、「球形の荒野」はドラマ化されたのを先日見たが、やはり原作のほうがいい。原作を超えたドラマや映画に滅多に出逢わないのはなぜだろう。「ノルウェイの森」は成功したと評判が高い。観たいなあ。2010/12/20
グラスホッパー
4
戦争でいろいろあった。死んだはずの人が生きていたりした。 テンポ良くストーリーが進み、ラストは駆け足で終了した。5日位かけて読んだが、5日間、頭が昭和になっていた。2024/08/15
アヴィ
2
球形の荒野を探し求める旅もいよいよ後半へ。ミステリーというよりも、父娘の愛情物語であり、それらを内包することで戦争というバックボーンを描いている。ハッピーエンドに見えないハッピーエンドだが、松本清張作品では分かりやすくラストを用意してくれた方ではある。2025/04/30
nonchi
2
最後の娘とのシーンは良かった2018/03/21