内容説明
マイホームを“マイ国家”として独立宣言した男がいた。訪れた銀行外勤係は、不法侵入・スパイ容疑で、たちまち逮捕。犯罪か? 狂気か?――世間の常識や通念を、新鮮奇抜な発想でくつがえし、一見平和な文明社会にひそむ恐怖と幻想を、冴えた皮肉とユーモアでとらえたショートショート31編。卓抜なアイディアとプロットを縦横に織りなして、夢の飛翔へと誘う魔法のカーペット。※文庫版に掲載の挿画は、電子版には収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
189
星新一さんのショートショートが人気あるのは、あまり現実性にない物語が多く後を引かないことにあるのでしょうか?私は少なくともそんな印象を受けます。ここには31編の作品が入っていますが表題作や「国家機密」などは私の好みに合うものです。ここら辺の挿絵は「ヒサクニヒコ」さんに代わっているのですね。2016/06/08
Tetchy
150
やはりこれは表題作でしょう。最近どこかで似たような話を読みましたがこれが元祖です。朴訥とした表紙に反して内容は一種の狂人話です。2008/08/30
ケイ
144
辛口ショートショートの多い星新一さんだけれど、これは特に毒が詰まっているように思う。表題作の「マイ国家」は、タイトルから連想するように狂ったモードの展開。少しビターでメランコリックな「語らい」が、一番短くて2ページにも満たないが、犬の戸惑いと幸せと悲しさを同時に醸し出しているのが良くて、最後のマイ国家を読んでからもう一度再読した。2016/07/04
優希
117
奇抜な発想で紡がれるショートショートにただハマるしかありません。どの話もシニカルな現実味と空想の世界が混じり合っていて、絶妙な味わいでした。丁度良い感じでオチが出てくるジェットコースターのような展開も良し。2017/06/28
扉のこちら側
117
2016年448冊め。表題作はマイホームを「マイ国家」として独立宣言した男の話。これは現実にも起こり得そうな話だ。全31篇の中で特に気に入ったのは「語らい」「特殊な症状」「ひそかなたのしみ」。2016/06/21