内容説明
長尾晴景が府中で病死した。その葬儀を済ませた景虎に、信州からもどった諜者が、武田晴信の北信進攻を知らせた。そして8月、景虎は軍を川中島に出動させたが、晴信の攻撃でさんざんに撃破された。戦さを始めて初の不覚だった。両軍の対決がくり返されるうち、京の将軍足利義輝の密使が景虎に至急の上洛を告げて来た。三好好慶、松永久秀の専横に将軍の権威が失墜、政情不穏の気配だったのだ。景虎は、晴信に和睦を固める使者を差し向け、越後路を京に向けて出発した。
カバーイラスト/熊谷博人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
91
清廉過ぎる人格は幸か不幸か。二十歳を少し過ぎたばかりの景虎の名声は増すばかり。我欲を遠ざけ義に生きる。そこに泣きつく信濃の豪族連。歴史というのは何故こうもままならないのか、いや、アジなことをしてしまうのか。長い長い景虎と信玄の敵対関係が始まる。腹の読みあい、探りあい。名将同士の川中島のドラマが始まる。2024/01/15
かいゆう
28
いよいよ川中島の戦いへ突入。景虎はどこまでも生真面目で正義感が強く、潔癖である。3巻まではそういう面が清々しく感じ、武勇に長ける所も見ものだったのだが、晴信の動きが目に付くようになってからは、少々落ち着きを無くしたかのように思える。晴信は強引だが、戦術でも、統率力でも、理由付けでも、景虎より上手といった印象。この時代、上洛するのは簡単な事ではなかったはず。上洛するのに5000人と大勢で驚いた。投げ草履とか面白い。2016/06/22
入江
6
上のものは飾りとなり、執事など下の物が実権をつかんでいく。そこにある種の芸術家的な犠牲の感情を読み取り、リアリティを与える海音寺氏の書き方がすごい。まだわからないが、景虎が悟りをひらくシーン。ここがどうもタイトルの由来らしい。2015/10/20
湯一郎(ゆいちろ)
3
上杉憲政からあっさり関東管領を譲られそうになるも、すぐには受けられないと固辞する景虎。川中島での戦いも始まったり信長も登場したり。歴史のうねりだなー。次で終わりか。2017/12/01
澤唯
1
ジリジリと川中島 そして上洛 最終巻へ2018/12/05