内容説明
岡っ引上がりの半七老人が、若い新聞記者を相手に昔話を語る。十九のとき、『石燈籠』事件で初手柄をあげ以後、二十六年間の岡っ引家業での数々の功名談を江戸の世態・風俗を織りまぜて描く捕物帳の元祖!(全六巻)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
背番号10@せばてん。
30
【1985版_東西ミステリーベスト100_55位】【2012版_東西ミステリーベスト100_42位】1994年1月13日読了。初出は1917年(大正6年!)。いまだ読み継がれる、恐るべき書。1994/01/13
剛腕伝説
18
半七捕物帳シリーズの第1巻。聞き手の若い新聞記者が半七を知る事になった「お文の魂」。半七の、初捕物である「石灯籠」等々14篇の短編集。これが大正6年、100年以上前に書かれているのにおどろきを禁じ得ない。今尚、多くの作家に捕物帳の手本として愛読され、その輝きが失われない素晴らしい作品。暫く嵌りそう。2021/03/14
geshi
8
言葉の一つ一つの江戸の空気が感じられ、そこで生きる人々のメンタリティが読み取れる。怪異をそのまま受け入れてしまったり、事件の重要な話を他人の耳に入る場所でしたり、強く締め上げられるとあっさり口を割ったり、推理ものとして読むと瑕疵と思える部分もあるが、それが許される時代という土台がしっかりしている。半七が推理力を発揮することもあれば事件に振り回されるだけのこともあるという幅の持たせ方も、捕物帳の懐の深い所。2013/12/30
田山河雄
2
第一話の発表されたのが大正六年(1917)だそうで(なんとロシア革命時)今年で百一年目になる。百年を生き延びるのは大変なものらしい。短編小説と言う斬新さも本書で初めて知りました。推理小説や探偵小説としても又捕物帳と言うジャンルとしても小生は初めてで、何より江戸の風物や香りも斯くやとばかりに押し寄せて来ます。登場人物のセリフや言い回しも何やら小気味良いのですが、でもやっぱり現代人とはこれ程までも違うのかと驚くと同時に時代のズレも感じてしまいます。それでも気になる…。やはり素晴らしいのでしょうね。2018/12/06