内容説明
天コウ星三十六員、地サツ星七十二座は地上に散った。その星の宿命を背負った世に入れられぬ好漢たち。義を重んじて財を疎んじ、危うきを助けて苦しめるをすくう彼らは、不可思議な見えない糸に操られるかのように、しだいに梁山泊へ屯集するきざしを見せる。――中国四大奇書の一つ、大長編伝奇小説の完訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Pustota
2
だんだんと好漢という価値観がわかってきた。そもそも権力が暴走していた時代なのだ。衝撃的だったのは、小役人になるといつ陥れられるかわからないので、親と予め離縁して迷惑がかからないようにしておくという話。それだけ無茶苦茶が罷り通っていたわけだ。それを悪としてはみ出しものが抗うという構図はわかった。ただ彼らがヒーローであることを仮に認めても、救われる弱者はいない。好漢ははみ出しものでもあり、仁義は守ってもそれ以外では平気で人を殺し、奪う。だから今一つ勧善懲悪という風にも読めず、やはり馴染むのが難しい。2018/07/02
Kyo's
2
宋江と武松の巻。武松の方が印象が強いのは、兄まで巻き込んだ潘金蓮の話の印象が強いからかなぁ。水滸伝の中でも一番盛り上がるところの一つですね。梁山泊入山したのに、その印象は割と薄い。林冲がかわいそうでした。なんとなく林冲に思い入れがあるのは北方版の影響かも知れない。それにしても、水滸伝の登場人物は、好漢だけでなく、全体的に思慮が浅い笑。悪女がステレオタイプなのは、時代背景なのかな。あと、表紙の絵がグロいです。閻婆惜は婆さんに見えるし、宋江は妖怪にしか見えないんですけど。。。2018/03/31
東森久利斗
1
奇書の名に恥じない波乱万丈、荒唐無稽、奇想天外な展開が、怒涛のごとく大団円まで突き進む。光り輝く原石の魅力を忠実に伝える翻訳は、数ある「水滸伝」では定評のあるところ。奇書の魔力に吞まれそうになりながらも何とか完読。原典もののハードルの高さを思い知る。装丁の奇怪なイラストは奇書の名に相応しく迫力満点。北方水滸伝は別物だということが良く分かる。2019/06/19
北条早雲
1
天星を主体に物語が進んでいき、地星が彩りを添えて、官軍や美女そして悪女が梁山泊に集結する。がしかし最後の最後には愕然とする結末がまっています。
イエテイ
1
2巻の主役は宋江と武松。この本を読んでいると、中国は法より人なんだなと思う。2015/10/12