内容説明
庭の隅に立つ大木に、セメントでギッチリ充填された洞がある。そこには一握りの長い髪が生え出し、冷たい秋風にバサリバサリと揺れていた。すぐに発掘が始まり、やがてそこから女の真っ白な脛が…。役者殺しを皮切りに、たて続けに殺人が起きた。事件解決に乗り出した由利先生と三津木俊助は、被害者が一様に或る大富豪の隠し子である事実をつきとめた。だがその時、最後の遺産相続人である盲目の娘に、犯人の魔の手が！ サスペンス豊かに描く本格推理小説。表題作ほか２篇を収録。
カバーイラスト/杉本一文
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yu。
28
動機が酷いね。。由利先生＆三津木記者コンビが泥沼相続殺人事件に挑む「悪魔の設計図」(Ｓ･１３)。なぜ彼女を象った石膏人形が！？ 今回は敏腕記者三津木俊介の恋人が事件に巻き込まれる愛憎ミステリ。。これ好き！！特にラストで明らかにされる全真相にとてもとてもやり切れない思いに駆られるという由利先生＆三津木記者コンビの第一弾「石膏美人」(Ｓ･１１)。相手が相手だけにね。。まだ警視庁にも入っていない凛々しい由利先生の青年時代の活躍が描かれるホラーサスペンス「獣人」(Ｓ･１０)。の３篇から成る横溝ワールド。2017/01/20
Kouro-hou
24
戦前名探偵・由利先生モノ中短編集。表題作の短編は犯人当て懸賞に使われただけあって登場人物が大変多い。静馬さん、またお前かよ。中篇「石膏美人」は作者公認・由利燐太郎第一作。以降の作品ではわりと落ち着いた若くしてロマンスグレーの元捜査課長と紹介される由利先生ですが、陥れられて失脚＆発狂して3年ほど行方不明＆事情で一気に白髪とわりと激しいプロフィールが公開されます。をを。相方の三津木記者とはすでにベタベタ。内容も怪奇＆猟奇＆フリークス大行進的なところがあって今日では難しめ。ヤング由利先生の冒険譚「獣人」も収録。2015/02/10
金吾
11
石膏美人はかなり救われない話ですし、表題作もそんな動機で人を殺すの？と思わせる話です。この人を救いきれない話は横溝さんの真骨頂かなと思いました。2020/04/25
アーチャー
9
気軽に読める不気味な作品集です。私のお気に入りは｢石膏美人｣ですが、そこに登場する犯人に雇われただけのサーカスの人気男"ヘンリー松崎"があまりにもかわいそうでしたね。だって、結果的に曲乗りに失敗して頭を強打し、ゲラゲラ笑うだけの男になったんですから、ある意味一番の被害者でしょ？2016/08/31
ホームズ
9
『悪魔の設計図』は犯人はある程度予想できるかな(笑)しかし動機が(--;) 『石膏美人』は由利先生と三津木コンビの最初の事件らしく少し今までと雰囲気が違っていた(笑) 『獣人』はシャーロック・ホームズの『這う男』を意識したのかな〜(笑)2008/12/24
