内容説明
理性と言語による現実把握の限界をどう超えるか。ニーチェの生の哲学から実存主義、現象学、フロイト、ウィトゲンシュタイン、構造主義、さらには京都学派の哲学までを総覧し、それらを超えて現代人のための宗教に至る道筋を鮮やかに指し示す。文庫化にあたり、「補論 初版以後の展開」を増補。
目次
第1章 現代思想の観点から(実存主義(実存・存在・超越)
生の哲学と深層心理学 ほか)
第2章 倫理の観点から(倫理とは何か;自我 ほか)
第3章 宗教とは何か(神秘とその言語化―神について語るということ;神秘と神・作用的一について ほか)
第4章 宗教の言語(通念的言語世界と直接経験;記述言語 表現言語 要求・約束言語 ほか)
第5章 例証―イエスの言葉に即して(イエスにおける出会いの直接経験;イエスにおける自己 ほか)
補論 初版以後の展開
著者等紹介
八木誠一[ヤギセイイチ]
1932年生まれ。専攻、新約聖書神学、宗教哲学。東京工業大学教授、ベルン大学(スイス、客員教授)、ハンブルグ大学(客員教授)、横浜桐蔭大学教授を経て、東京工業大学名誉教授、文学博士(九州大学)、名誉神学博士(ベルン大学)。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
12
神の肖像。 人格のある存在ではなく、作用のように捉えたが、あってるかな。 哲学の言葉を多用して、宗教とは何かを掘り下げていく。 宗教とは何かとあるけれど、神とは何かとした方が正確であると思う。宗教についてはほとんど何も語っていない。 『生物都市』のようなヴィジョンがでてくる。 極って説明は、わりとわかりやすい。 反差別って言葉が引っかかる。ニーチェの用いる、弱者のルサンチマンって言葉の方が正確ではないのか。2025/06/28
ken
3
「宗教とは何か」の問いに対して、哲学的、言語学的なアプローチで挑む。「宗教」と「哲学」の関連を知ることができる名著。内容はそこそこ難解ではあるが、この世界の真理を見事に言い当てていると思う。ゆっくり、じっくり読めば、きっとこの世界を認識する目に変化が生まれると思う。宗教、哲学、言語に興味のある人におすすめの一冊。2022/01/23