出版社内容情報
これまで埋もれていた半世紀にわたる執筆作品を自身でセレクトし、整理・編集した著作集の3冊目、セレクシヨン?には、1999年?2015年の言語学に関する論文、講演録と、1975年?2016年のマルクス・スターリン言語学についての論文など、計39篇を収めた。
20世紀の終わりごろから、日本では教育の中に英語科目をどのようにとり入れるかが大きな課題になりはじめ、言語学への期待も高まった。
一方で、ソビエト連邦崩壊に伴い、民族と言語の問題が再浮上し、今に至っている。
民族というかたちをとる以外に方法がない、人類と言語の関係について、考えるきっかけになる一冊である。
セレクシヨンⅢへのまえがき
第一部 われら「日本語人」のために
多言語主義と言語学
《講演録》人類史における言語
《講演録》人類史における言語共同体
近代言語学イデオロギーと日本国語イデオロギー
敬語は日本語を世界から閉ざす
《講演録要旨》外国語を学ぶということ
公用語とは何か
ヨーロッパ人と中国語
人と「ことば」
《講演録要旨》「英語教育の目的と方法」―受難時代の英語教師―
母語という秘密
グローバル化にのぞむ少数言語のストラテジー
《講演録》日本語学と言語学
『エスペラント―異端の言語』についての著者の弁明
自然と人工の間のことば
辞書に近代語の語源を
《講演録》言語からみたジェンダー
日本語と漢字
ローマ字運動の理想と現実
《講演録》言語学はエスペラントをどう扱ったか――大島義夫の忘れてはならない功績
第二部 ソビエト・スターリン言語学
科学論としてのソビエト言語学論争
民族にとって言語とはなにか
Leo Weisgerberと社会言語学 ――いかに私はWeisgerberを読むか――
《読書ノート》『ヒトラー演説』
[田中克彦著『チョムスキー』の]書評にこたえて
チョムスキーの魔術
「法則」にとって人間はじゃまもの
言語と階級と民族の問題 エヌ・ヤ・マルのたたかい
言語学の日本的受容 ――ガーベレンツ、ソシュール、上田万年――
言語の多様性を憎むこころ
「スターリン言語学」と日本語
《インタビュー》言語は変わるから言語なのだ ――イデオロギーとの拮抗
スターリン批判前・後の言語学
石母田正と「スターリン言語学」
《新聞連載コラム》私の心に生きる言語学者
始まりはグリム兄弟/ソシュール/フォスラーとコセリウ/シューハルトとマル/チョムスキー
朝日新聞 2018/12/15 おすすめ 増田愛子
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田中克彦セレクションⅠ 自伝的小篇と読書ノート
カルメンの穴あきくつした
田中克彦セレクションⅡ 言語学と言語学史篇
国やぶれてもことばあり
田中克彦セレクションⅢ スターリン言語学から社会言語学へ
カナリヤは歌をわすれない
田中克彦セレクションⅣ モンゴルと中央アジア篇
はるけきモンゴル
内容説明
人間には、世界が一つのことばになるのを願う一方で、自らの生まれ育ったことばを失うまいとする強い意志がある―なぜだろうか?言語と民族の関係を考え続けてきた言語学者・田中克彦の40年(1975年~2016年)。
目次
第1部 われら「日本語人」のために(多言語主義と言語学;“講演録”人類史における言語;“講演録”人類史における言語共同体;近代言語学イデオロギーと日本国語イデオロギー;敬語は日本語を世界から閉ざす ほか)
第2部 ソビエト・スターリン言語学(科学論としてのソビエト言語学論争;民族にとって言語とはなにか;Leo Weisgerberと社会言語学―いかに私はWeisgerberを読むか;“読書ノート”『ヒトラー演説』;“田中克彦著『チョムスキー』の”書評にこたえて ほか)
著者等紹介
田中克彦[タナカカツヒコ]
1934年兵庫県生まれ。東京外国語大学モンゴル語学科、一橋大学大学院社会学研究科、ボン大学哲学部・中央アジア言語文化研究所(フンボルト財団給費)でモンゴル学・言語学・民族学を学ぶ。一橋大学名誉教授。社会学博士。モンゴル国立大学名誉博士。2009年モンゴル国北極星勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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