出版社内容情報
江戸で噂の、「持つ者は子宝に恵まれる」という宝船の絵。しかし、赤子を失ったある家の宝船の絵から、なぜか弁財天が消えたという。
時を置かずして、北一もよく知る弁当屋の一家三人が殺される。現場で怪しげな女を目撃した北一は、検視の与力・栗山の命を受け、事件の真相に迫っていく。
本書は、江戸深川の富勘長屋に住み、小物を入れる文庫を売りつつ岡っ引き修業に励む北一が、風呂屋の釜焚きなのに、なぜかめっぽう強い相棒・喜多次の力を借りながら、不可解な事件を解決していく物語。
北一の文庫づくりを手伝っているのは、欅屋敷の「若」や用人の青海新兵衛、そして末三じいさん。岡っ引き見習いとしての北一を応援しているのが、亡き千吉親分のおかみさんや大親分の政五郎、政五郎の元配下で昔の事件のことをくまなく記憶している通称「おでこ」たちだ。
北一応援団とともに謎解き×怪異×人情が愉しめる、著者渾身の大人気シリーズ第二弾!
内容説明
宝船の絵から、弁財天が消えた―江戸深川で起こる不可解な事件を、二人の「きたさん」が、解き明かしつつ、大人になっていく物語。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
533
宮部 みゆきは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。「きたきた捕物帖」シリーズ第二弾、著者の他のシリーズに比べると、主人公の北一がヘタレで半人前のため物足りないですが、オススメは、第三話「人魚の毒」です。 https://www.php.co.jp/kitakitamiyabe/2022/07/06
ひさか
434
文蔵2020年6月号〜2021年9月号、11,12月号の連載子宝船、おでこの中身を加筆修正し、書き下ろし:人魚の毒を加えて、2022年6月PHP研究所から刊行。文庫の振売りも順調な北一さんが二つの事件に巻き込まれることに。哀しさや陰惨さの中で、回りの人々の力を借りながらの解決は、心配と重苦しさがありましたが、興味深い展開で納得できる謎解きでした。ただ割り切れなさは残ります。登場人物が魅力的で面白い。喜多次の出自が少しずつでもわかっていくのが楽しい。2022/07/23
タツ フカガワ
376
子宝に恵まれるという酒屋の主人が描いた七福神の絵が巻き起こす騒動や、一家三人毒殺事件に関わりながら北一が徐々に一人前の岡っ引に育っていきそうなシリーズ2作目。なんといってもうれしかったのは『ぼんくら』『日暮』『おまえさん』時代から25年後の“おでこ”との再会(ちなみに美少年弓之助は長崎で学者になっているらしい)。喜多次の活躍をもっと見たかったけれど、楽しい読書でした。2022/07/03
Tanaka9999
338
2022年発行、PHP研究所のソフトカバー本。3編。1話目と、2・3話目とで2つの事件が発生する。1話目の事件は日常的な事件といえるかもしれないが、2・3話目の事件は悲惨な事件。なぜ狙われてしまったかも、どうやって殺されたのかも被疑者死亡で分からずじまい。一応推測はされていますが。しかし、今の暮らしも隠居の老人が亡くなった後が不安なのはそうでしょうが、殺しにまで発展するものか。それがサイコパス的なもの、といえばそうなのかもしれませんが。2022/08/04
うっちー
332
話題ほどではありませんが、それなりに面白く読めました2022/07/19