出版社内容情報
20年以上続いた第１次核戦争が終結したのち、人類は世界連邦政府を樹立し、重要事項の決定を巨大コンピュータ〈ヴァルカン3号〉に委ねた。極秘とされるその設置場所を知るのは統轄弁務官ディルただ一人。だが、こうした体制に反対するフィールズ大師は〈癒しの道〉教団を率いて政府組織に叛旗を翻した。ディルは早々に大師の一人娘を管理下に置くが……。ディック最後の本邦初訳長編ＳＦ！ 解説=牧眞司
内容説明
２０年以上続いた核戦争が終結したのち、人類は世界連邦政府を樹立し、重要事項の決定をコンピュータ“ヴァルカン３号”に委ねた。極秘とされるその設置場所を知るのは統轄弁務官ディルただ一人。だがこうした体制に反対するフィールズ大師は、“癒しの道”教団を率いて政府組織に叛旗を翻した。ディルは早々に大師の一人娘を管理下に置くが。ディック最後の本邦初訳長編ＳＦ。
著者等紹介
ディック，フィリップ・Ｋ．［ディック，フィリップＫ．］ ［Ｄｉｃｋ，Ｐｈｉｌｉｐ Ｋ．］
アメリカの作家。１９２８年生まれ。１９５３年に短編作家として出発し、その後長編を矢つぎばやに発表、「現代で最も重要なＳＦ作家の一人」と呼ばれるまでになる。１９８２年没
佐藤龍雄［サトウタツオ］
１９５４年生まれ。幻想文学翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カザリ
57
今までで一番読みやすかったけど、それが逆にディックの読んでいて鬱になりそうな感じを排除して軽快なテンポになっているせいもあるのかあと思った。エルドリッチとかと比べると足元が崩壊していく感覚がなくてよかった気がするけど、ライトな感じが物足りなくも。。三つ巴の裏幕はなんとなく読めた。。再読して、もう一度楽しもうと思います。2015/06/28
催涙雨
54
ジョーンズの世界の解説ではこの作品が最後に邦訳されるであろうと予想されていた。そして実際にそうなった。そのため正直言って読む前からよほどのものなのだろうと思って期待していなかったのだが、それほど悪い作品ではなかった。全体的な印象を語ってしまえばディストピアを下敷きにしたドンパチありきのB級SFといった感じなのだが、ヴァルカンや癒しの道の設定が少しずつ明かされていく過程は面白いし、ほとんどの人物が疑心暗鬼に陥っていることやレイチェルの造形など、要所から手癖のようなものが伺えるのもファンとしては楽しく思う。2019/10/21
友和
19
けっこうサクサク読めた。ディックらしくて面白かった。2015/10/14
けいちゃっぷ
18
とうとうディックの長編ＳＦもこれで全てが翻訳されました。 最近では創元のディックＳＦをほぼ一手に訳されていた佐藤龍雄さん、ありがとうございました。 ５０年近く前の作品の初訳ということで、出来栄えはほとんど期待しなかったが結構面白い。 コンピュータやその取り巻きの官僚が支配するディストピアなんだが、それに反旗を翻すのが意外なメンバー。 やっつけ仕事だったかもしれないが、ひねりもあるし致命的な破たんもなく、コクはないけど最後まで書ききった印象。 ２６６ページ 2017/01/07
UC
17
積みから読了。ディック最後の本邦初訳SF長編。ディックの描く世界ってイメージすると「いつも夜」って感じになるんですが皆さんはどうでしょう？(自分は多分ハリソン・フォード主演の『ブレードランナー』からのインスパイアが強いんだと思います。あの映画、いつも背景は暗かったような…)この作品、ディックを読んだことの無い、且つ読書初心者にはオススメ出来ると思います。自分としては結構すんなり入ってきたと思うので、飲み込みやすい訳で書かれているんだと思います。2015/11/17
