出版社内容情報
酉乃との距離が縮まったような、そうでないような。悶々と過ごすポチこと須川くんが遭遇した、バレンタインをはじめ学内外の出来事。『午前零時のサンドリヨン』に続く第二集。
内容説明
せっかくの冬休みなのに、酉乃初と会えずに悶々と過ごす僕を、クラスメイトの織田さんはカラオケへと誘う。当日、急に泣きながら立ち去ってしまった彼女にいったい何があったの?学内では「赤ずきんは、狼に食べられた」と書き残して不登校となった少女を巡る謎が…。僕は酉乃に力を借りるべく『サンドリヨン』へと向かう。女子高生マジシャン・酉乃初の鮮やかな推理、第二集。
著者等紹介
相沢沙呼[アイザワサコ]
1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黒瀬
165
今回はマジシャン酉乃よりも主人公にふさわしい人物がいました。大きなテーマは教室内でのサバイバル。複数存在する語り手の一人であるトモという少女が正しいはずの良心からサバイバルに躓き、仮面を付けるようになる。だが本シリーズはみな少なからず友達を失うまいと仮面を被っている。それは織田さんや八反丸さんも例外ではない。決して人を傷つけたくて傷つけているわけではなく、自分を守るために手にした凶器が結果として相手を傷付けてしまった。この生き辛さを魔法のように解決してくれた酉乃さんと須川くんがやはり主人公だったか。2020/05/23
ベイマックス
94
相沢さんのデビュー作の第二弾。偶然TSUTAYAの特集コーナーで見掛けて驚きました。文庫初版が2015年だったなんて。購入したのは3版2020年12月。◎高校生の須川君と酉乃さんとの推理とマジックと恋のお話し。◎中高生の女子のグループって大変だよね。その延長にOLの給湯室や化粧室があり、ママ友や公園デビューなんて言葉があるのかも。2021/01/09
mocha
92
女子高生マジシャン酉乃が、日常の謎を解くシリーズ2作目。校内の小さな謎の短篇集のようでいて、一本の長編にもなっている。クラスという閉じられた世界の中で、必死に自分の居場所を確保しようとする女子高生たちの姿が痛々しい。終盤心の準備がなかったところへ「えっ!どーゆーこと?」と、予想外の展開。思わずさかのぼって確かめてみる。にしても、語り手である須川君のあまりなヘタレっぷりが哀しい。2015/10/26
ひめありす@灯れ松明の火
75
ねえ、あなたの目はどうしてそんなに大きいの?次の標的を誰にするか見張る為さ。ねえ、あなたの耳はどうしてそんなに大きいの?みんなの噂話を余さずチェックする為さ。ねえ、あなたの口はどうしてそんなに大きいの?誰よりも大きな声で馬鹿話に笑う為さ。私の体を、心を、守ってくれるはずの頭巾はいつからどうして、真っ赤なの?誰かの血に濡れているの?それとも目印の為?教室の森の中で目立つ為?私達は狼で同時に赤ずきんちゃん。いつも食うか、喰われるかの世界に居るの。ロートケプシェン、こっちにおいで。と呼ぶ声がする。応じていいの?2015/03/23
ミホ
72
酉乃初の事件簿第二集。やはり主人公、須川少年は幼いけどたまにぐっと大人びる時ありこれはギャップと言うのか…いえ全然ギャップ良いとかそういうのではなく幼さがちょっと幼さすぎて何とも大丈夫この子と思える感じで。内容は若さ故、学校空間故のドロドロがあって辛かったです。表紙からはそうは思えないんですけど、なかなかに暗い闇を見た気持ち。序盤の入り込むのにも結構慣れるのが大変でした、読み始めて慣れたらサクサクいくのですが。マジックをする酉乃さんに救われる。狼に食べられた赤ずきんはだあれ。ちょっと怖かったかも。2016/05/13