出版社内容情報
歴史の女神クリオが老女の姿で語る、老いとは何か、歴史とは何か。メルロ=ポンティやドゥルーズをも震撼させた究極の名著、初完訳。
内容説明
歴史の女神クリオが語る老いとは何か、歴史とは何か―究極の名著、初完訳!カトリック左派の中心的な思想家として知られ、須賀敦子も敬愛したペギーが、モネの「睡蓮」やヴィクトル・ユゴーの作品を主軸に、その思索を結実させた傑作。
著者等紹介
ペギー,シャルル[ペギー,シャルル] [P´eguy,Charles]
1873‐1914。フランス中部、ロワール川流域の都市オルレアンに生まれる。幼少の頃から抜群の学業成績を収め、1894年には高等師範学校に合格、ほどなくして文筆活動を始める。国内世論を二分したドレフュス事件への取り組みと、「半月手帖」(1900年創刊)の編集を経て思索を深めたペギーは、神秘的社会主義から、信仰と社会問題への関心を一つにつなぐ特異なカトリック左派の立場へと軸足を移していった。1914年9月5日に前線で壮絶な戦死を遂げた
宮林寛[ミヤバヤシカン]
1957年生まれ。パリ第七大学博士課程修了。慶應義塾大学文学部教授。専攻はフランス近代詩(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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渡邊利道
5
歴史の女神との対話(実際にはほぼクリオがペギーに語りかけるだけ)という形をとって、歴史とは何か、何でありえ、あるべきか、それを超える方法はあるか、を問う長編エッセイ。ともかく繰り返し表現が頻出する退く語りかけの、トーマス・ベルンハルトを彷彿させる特異な文体で、行きつ戻りつしながら論旨を研ぎ澄まさせていくのがものすごく面白い。ホメロスから始まり、ボーマルシェとユゴー『懲罰詩集」論を中心に、記録(記載)を参照する「歴史」と、記憶と反復による「時間」を捉える論に進んでいく。2019/05/09