出版社内容情報
天王星系での外惑星連合軍地下組織によるクーデターを描く長篇、航空宇宙軍の創設に始まる人類の壮大な宇宙史たる連作集を合本。
谷 甲州[タニ コウシュウ]
内容説明
第1次外惑星動乱から20年。降伏後、解体された外惑星連合は、いまだ地下軍事組織として航空宇宙軍への抵抗を続けていた。彼らは新政権を樹立すべく天王星系エリヌスにクーデターのための降下部隊を送り込もうとするが―辺境の宇宙都市をめぐる息詰まる攻防を描いた長篇『エリヌス―戒厳令』航空宇宙軍の創設から、ある仮装巡洋艦の数奇な運命まで4篇収録の連作集『仮装巡洋艦バシリスク』を合本した“航空宇宙軍史・完全版”第4弾。
著者等紹介
谷甲州[タニコウシュウ]
1951年兵庫県伊丹市生まれ。大阪工業大学土木工学科を卒業後、建設会社に勤務。退社後は、青年海外協力隊(ネパール)に参加しつつ、1979年“奇想天外”誌にてデビュー。以来、数多くのSF・冒険小説を発表している。『コロンビア・ゼロ新・航空宇宙軍史』(早川書房)で第36回日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はるを
48
⭐️⭐️⭐️⭐️☆。超難解だった。力技で強引に読み終えた。笑。理解出来る範囲でも面白かった。【エリヌス-戒厳令-】天王星の衛星、エリヌスを舞台に守る航空宇宙軍と攻めるSPAそれぞれの立場から複雑な思いと目論みが絡み合う様は読んでいてスピード感とスリルがあり、さらにはどんでん返しも起こりとても面白かった。ジャムナ、ロペス部長、オライオン、オグ、ヴェルナー大佐、教授、等濃いキャラクターもみんな良かった。【星空のフロンティア】最後が度肝を抜かれたけれど面白かった。ただ、説明が長過ぎるかなぁ。つづく。2018/05/03
タカシール
19
外惑星動乱が終わっても関わった人々にとって歴史は続いていく。航宙船,サイボーグなどさまざまなギミックが出てくるけれどもあくまでも主体は人間。未来世界にどっぷり浸かり味わえるSF小説。2017/04/20
mahiro
16
外惑星動乱の終決から何十年か経っても恨みは消えず外惑星同盟の残党はテロリストとなって辺境衛星で起死回生の計画を実行する『エリヌス』その地で細々と生きていく事だけを望みに暮らす人々を巻き込んで・・『仮想巡洋艦バシリスク』は外宇宙へ出て行く人々の物語と言えば良いのか。手に入らなかった初期作品も読めて満足、巻を重ねるごとに谷甲州の世界にどっぷり浸っていた頃の気持ちを取り戻すようだ、次は5巻そして新作未読のコロンビア・ゼロだ。2017/08/22
鐵太郎
11
第一次外惑星動乱から40年ほど経って、再び外惑星、それも木星系・土星系どころかもっと辺境の、天王星の衛星エリヌスで発生した動乱の顛末を描く長編と、航空宇宙軍が太陽系からさらに外に進出する時代を描く短編集を合本としたもの。後者の中で、「ヴァルキリー」に絡む2つの短編はお気に入りなのですが、ハードSFの範疇を超えて行くときの谷甲州節には、その群像劇としたときのスケールの小ささを含め、どうも波長が合わないかな。でも、それはそれで懐かしく、面白い。2017/05/22
ひびキング
11
爆発寸前までに高まる緊張と防諜戦が-開戦前夜-と対になるかなような-戒厳令- 市民や兵士の悲哀が物悲しいが、他の作品ではあまり触れられない大型艦の運用が描かれていて興味深い。そして全ての始まりである「バシリスク」を30年経った今読むと、ミクロな視点で描かれる後続の作品に対して、大きな時の流れを扱った始まりに相応しい完璧なSFだと感じられる。後の「パンドラ」や「日本沈没二部」に繋がって行く著者の筆の流れが見えるようだ。2017/05/18