内容説明
社内でひそかにチャラ男と呼ばれる三芳部長。彼のまわりの人びとが彼を語ることで見えてくる、この世界と私たちの「現実」。すべての働くひとに贈る、新世紀最高“会社員”小説。
著者等紹介
絲山秋子[イトヤマアキコ]
1966年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。住宅設備機器メーカーに入社し、営業職として福岡、名古屋、高崎などに赴任。2001年退職。2003年に「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞、2004年に「袋小路の男」で川端康成文学賞、2005年に『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、2006年に「沖で待つ」で芥川賞、2016年に『薄情』で谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
525
絲山秋子は久しぶり。一時期はシリアスな路線に突き進むかと思われたが、その後は再び軽妙なタッチに復帰。本書はタイトルからして思いっきり軽い。構成の核を成すのが、ジョルジュ食品の部長職にある三芳道造ことチャラ男である。そして彼の周縁にいる人たち(多くは同社の社員)による、15話+1話の語りからなる。全体を通読すれば、会社というのも、そしてそこでの人間関係や、また個々の人たちが抱えている悩みや、ささやかな喜びが浮かび上がってくるという構造である。私には会社員の経験がないのだが、会社とというのは概ねこんなもの⇒2024/03/08
kou
324
タイトルから、「会社のピンチをチャラ男が救う痛快ストーリー」と予想してたら、ブラック企業のリアルな人間模様が描かれていた。社員それぞれの心の内が生々しく、視点が面白かった。こういうチャラ男って、やっぱ何処の会社にも居るんだなぁと思わず苦笑いが・・・(笑)。2020/05/20
射手座の天使あきちゃん
321
惹かれるタイトルなのに… 残念❕ オリラジの藤森さんのような素敵なチャラ男はいませんでした(笑) チャラ男こと三芳さんにも彼を語る登場人物にも、「あぁ居るよね こんな人」とは思うものの人物造形にもお話の展開にも魅力を感じられぬまま読了です。私の読力不足かもです <(^_^;2021/06/13
まちゃ
244
表題からは想像できないほど、今を生きる人へ向けた可笑しくも哀しく共感できる現実の小説でした。要領がよく、お調子者で社内でチャラ男と呼ばれる部長・三芳道造(44歳)。彼のまわりの人びとや、三芳本人までが大いに語る多視点会社員小説2020/02/29
fwhd8325
232
チャラ男というのは、ここ最近の言葉なんでしょうか。私の時代には、なんちゃって○○や何にも○○と言って揶揄したものです。そう言われる人たちも根っからの悪人ではなく、小市民的な小賢しさだったように思います。各賞の語りは、辛辣でなかなか楽しい。それにしても、この構成、素晴らしいと思います。濃密ですな。2020/08/16
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